東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 群馬 > 10月26日の記事一覧 > 記事

ここから本文

【群馬】

東京ガス 4万立方メートル上空へ放出 住民報告は1週間後

 東京ガスが九月下旬に通常はガス漏れ対策のために付けているにおいが消えたままのガスを供給した問題で、安中市野殿のガス中継施設で約四万立方メートルの無臭ガスを上空へ放出していたことが分かった。社内の保安規定で緊急時の迅速な広報を定めているが、住民らに報告したのは約一週間後で、東ガスは遅れを陳謝している。 (菅原洋)

 無臭ガスが供給された問題は九月十八日に発生。ほぼ丸一日、前橋、高崎、渋川三市の約八万二千件に届いた。安中市磯部のガス中継施設で配管検査中に社員がバルブを閉じた際、においを付けるポンプが連動して自動停止する仕組みを知らなかったために起きた。

 ガスを上空に放出したのは磯部の施設から東へ数キロにある野殿の中継施設で、周辺に民家が点在。無臭ガス問題の復旧作業の一環として、二十日未明から約十時間、高さ約三十メートルの「放散塔」から放出した。放出量は平均的な家庭が一カ月に使う分の千二百五十倍。住民への健康被害はなかった。

 東ガスによると、においを付けるポンプの停止中に通過したガスで、改めてにおいを付けるのは困難で、放出しか方法がなかったという。東ガスが空中にガスを放出するのは異例で野殿の中継施設では初めてだった。

 東ガスは放出について九月二十五日に安中市に、翌日に住民に報告。しかし、今月九日に無臭ガス問題を発表した際には放出の事実を公表しなかった。

 東ガス広報部は「ガスは空気より軽く、上空で拡散するため、爆発などの危険はない。しかし、放出作業は騒音も出るので、事前や直後に住民に報告しなかったのは配慮が足りず、申し訳なかった」と謝罪している。

 経済産業省によると、放出はガス事業法で想定しておらず規定がないが、同省ガス安全室は「一般論で言えば、住民への説明は当然だ」と指摘している。

 

この記事を印刷する

PR情報





おすすめサイト

ads by adingo