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2011年03月10日
三陸沖を震源に宮城県北部で震度5弱の揺れを観測した9日の地震について、東北大地震・噴火予知研究観測センターの松沢暢教授(地震学)は、予想される宮城県沖地震との直接の関連はないとの見解を示した。一方で、震源を含むアスペリティ(固着域)が、想定震源域と連動するエリアに重なることから、宮城県沖地震で複数の断層面が同時に滑る「連動型」の危険性が下がったとも指摘した。
宮城県沖地震の発生メカニズムは、陸側プレートの下に海側プレートが潜り込む「プレート境界型」に区分される。摩擦力の大きいアスペリティにかかった力が限界を超えると一気にプレートが滑り、地震が起きる。
今回の地震も、東北の東方約200キロメートル沖をほぼ南北に走る日本海溝の陸側で起きたプレート境界型とみられる。
松沢教授によると、震源地は宮城県沖地震の想定震源域よりも沖合にある1981年の地震=マグニチュード(M)7.0=のエリア。「81年の地震と同じアスペリティが30年周期で壊れた可能性が高い。2月中旬からM5クラスの群発地震が起きており、数日後に本震が起きたのも81年と同じ傾向」と言う。
この海域は、宮城県沖地震で複数の断層面が同時に滑る「連動型」になった場合、想定震源域と連動するエリアに含まれるとして、「今回の発生によって、複数のアスペリティが一気に壊れ、宮城県沖地震がより強い地震になる危険性は低くなった」と分析している。