(注意)今回は、「ビジネスエキスプレス」で「週刊バイオ」の取材をお申込み頂きました。たくさんの執筆待ちの企業様がいらっしゃいますが、どうかご理解をお願い致します。
読者の皆様こんにちは。
久しぶりの「週刊バイオ」の執筆で、キーボードを打つ手が震えております。
しかし、いつの間にか今年ももう終わりですね。読者の皆さんはお元気でお過ごしでしょうか?
筆者の方は、あれを売ったりこれを売ったり、様々な相談に応じたりしておりますが、率直な感想としては、「バイオ認証」はまだまだ手放しでは売れるものではないのだなーっと、技術の進歩を祈願するばかりでございます。
さて今回は、顔認証技術とICカード認証システムを組み合わせて、受付端末からフィジカルセキュリティー、電子マネー、ロッカーシステム、情報セキュリティーと、ビル内の全ての個人認証を1つのシステムで制御できる画期的なシステムが誕生したとのことで、早速取材をさせて頂きました。
取材日は、2003年11月。取材にご協力頂いた方は、
●ユタカ電気株式会社 常務取締役 池原さん
●同社 営業部 参与 青山さん
●同社 営業部 主任 小野寺さん
の3名です。
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1.ユタカ電気の会社概要
ユタカ電気は、昭和52年10月に設立され、満25年を経過した、実績と信頼のある会社です。
創業者は防衛庁出身者であり、当初は防衛関連機器を中心に製造していた専業メーカーでありましたが、今では以下の5つの分野の電子機器を製造する、総合電機メーカーへと成長を遂げています。
(1)防衛関連機器事業
通信計測器修理契約を陸自通信補給処と締結。
その後、乱気流計測装置、ヘリコプターゾンデ、波高計、ミサイル発射試験装置、化学テレメータ、標的用加速度アンプ、ガスサーボ等の設計・製作・保守業務について、国立公害研究所、防衛大学校、建設省、防衛庁技術研究本部、日本アビオニクス(株)等と契約を行っています。
(2)電子制御機器事業
昭和53年6月より、電子制御機器を防衛庁に納品しています。
具体的な製品は不明。
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(3)家庭用電位治療器
昭和56年11月より、(株)ヘルスの高周波電位治療器「パワーヘルス」の委託製造を請け負っています。
この「パワーヘルス」という装置、とってもとっても人気が有り、生産を開始してからわずか1年10ヶ月で、なんと10,000台の販売を突破した、大ヒット商品なのです。
現在では、累計生産台数23万台を突破し、毎年1万台以上をコンスタントに販売している安定商品に成長しています。
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(4)全自動印刷関連機器
昭和59年9月、全自動印刷関連機器に進出しています。
これは葉書や封筒の宛名や住所を自動で読み取って、配達区域の仕分けを行う大型の機械を開発したと聞いています。
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(5)情報処理関連機器
昭和61年1月より、いよいよ情報処理関連機器に進出しました。
具体的な製品としては、以下があげられます。
@宅配ロッカー
最近のマンションでは欠かせなくなった宅配ロッカーを、年間400物件こなしています。
部屋番号をインプットして宅配物をロッカーの中に入れると、該当の住居人しか知らないパスワードでロッカーを開けることができるというものです。
この宅配ロッカーも、指紋で開けることができればいいですね。今は非接触ICカードでも開けることができるそうです。
A券売機
特に企業内の食堂の券売機を開発しています。最近は企業内食堂を廃止し、「たまご屋」などの宅配弁当に移行する企業が増えている模様で、この製品はあまり旬ではないとのことです。
その代わり、「スーパー銭湯」などの健康ランドが多数作られるようになり、そちらの方面に多く出ているとのことでした。
Bホテル自動チェックイン・チェックアウト(生産機)システム
ワシントンホテルやラブホテルにかなりの台数を納めているとのことです。
C指紋認証モジュールを応用した出入管理システム
三菱電機製の指紋認証モジュールを利用して、出入管理システムを開発したり、指紋認証金庫の電装部品を開発したりしています。
D「受付錠」システム
今回ご紹介する、顔認証と非接触ICカード認証を利用した、トータルセキュリティーシステムです。
以下に詳しくご紹介したいと思います。
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2.「受付錠」システムのご紹介
この「受付錠」システムは、単なる受付端末ではありません。非常に多くの機能を搭載した、「トータル・カードソリューション」と言うことができるのではないでしょうか?
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先ずは、この「受付錠」システムの機能を以下にまとめてみましょう。
(1)受付端末・内線電話取次業務サービス
(2)訪問者に対する「メッセージ」出力サービス
(3)訪問者の顔認証による、非接触ICカード発行と電気錠制御サービス
(4)訪問者ログ管理サービス
(5)交通機関時刻表サービス
(6)タクシー案内サービス
(7)ロッカーサービス
(8)自動販売機・電子決済サービス
(9)パソコンアクセス制御サービス
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(1)受付端末・内線電話取次業務サービス
このシステムのメイン端末は、タッチパネルとWindowsOSを搭載した受付型端末です。この受付端末がサーバーとなり、会社内のパソコンが全てクライアントとなっています。
この受付端末システムは、通常の受付端末のように、訪問先の社員の名前や部署名をタッチパネルで検索することで、内線電話をつなげてくれるPBXサービスを提供してくれます。またクライアント端末の画面上に来訪者のイベントをポップアップさせることもできます。
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受付錠です。
あれ?この人は誰? |
顔認証を行っているところです。 |
125KHz帯の
非接触ICカードリーダー
です。 |
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(2)訪問者に対する「メッセージ」出力サービス
この「受付錠」のサーバーには、独Bio−ID社製の「顔認証」エンジンが搭載されており、常連客や出入業者の訪問時は、顔認証を行って自動的に担当者へ内線電話を繋げる仕組みになっています。
また予め訪問予定者に対してメッセージを入力しておけば、顔認証で訪問者が特定された際、会議室番号などの案内を、画面表示や合成音声で出力することができます。
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非接触ICカードを自動で発行してくれるサービスがあります。 |
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(3)訪問者の顔認証による、非接触ICカード発行と電気錠制御サービス
常連客や出入業者の訪問の際、顔認証を行って個人が特定された後、社内の会議室まで入室する許可を与える非接触ICカードを自動発行する機能も搭載されています。
もちろん受付けエントランスや社内廊下や会議室などの扉には「非接触ICカードリーダー」と「電気錠制御機能」を取付ける必要がありますが、それぞれの来訪者の目的場所に応じた「侵入権限(セキュリティーレベル)」を付与した非接触ICカードの発行を可能にしてくれます。
このサービスにより、わざわざエントランスまで訪問者を迎えに行く時間を節約することができます。
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扉の上部に面付けするタイプのモーター補助錠? |
これは非接触ICカード
リーダー内臓の
指紋照合装置。
指紋照合装置内臓の
ICカードリーダーと
呼んだ方がいいかな? |
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(4)訪問者ログ管理サービス
この機能は、よくある履歴管理サービスです。誰が、何年の何月何日、何時に、誰を訪れに来たかを帳票として出力することができます。
社内の物が無くなったり、情報漏洩があった場合には、この履歴が役に立つかもしれませんね。
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帰りがけにこのBOXに非接触
ICカードを投げ込むと、在室管
理に反映されます。そして交通
機関時刻表サービスやタクシー
案内サービスを受けることが
できます。 |
内線電話と取次ぎしてくれる他、
電車の時刻を表示してくれたり、
タクシーを呼んでくれたりしてくれ
ます。 |
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(5)交通機関時刻表サービス
打ち合わせが終了し、非接触ICカードを返却した際に表示されるサービスです。
最寄の駅の電車の時刻表を表示してくれるとともに、訪問者が誰だか分かっていますので、帰りの交通機関のルートを「駅スパート」のように表示してくれるかもしれませんね。
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この方が有名な、池原常務です。 |
営業部 青山参与です。 |
営業部 小野寺さんです。 |
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(6)タクシー案内サービス
交通機関時刻表サービスに少し似ています。
受付端末のタッチパネルに表示される「タクシー手配ボタン」を押すことで、わざわざ電話をすることなしに、インターネット経由でタクシーの手配をすることができます。
タクシー会社にとってはメールで予約が飛び込んでくるし、配送先も事前に登録されているので、非常に重宝しているとのことです。
特に駅から非常に離れており来訪者が多い企業の研究所などには、必要不可欠のサービスだそうです。
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ロッカーにも
非接触ICカードリーダー
が連動されています。 |
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(7)ロッカーサービス
125KHz帯の非接触ICカードリーダーはロッカーにも組み込まれており、全てLANで一元管理されています。
手荷物をロッカーに入れて入室した場合、帰りがけに非接触ICカードを返却BOXに入れた際、ロッカー内の荷物を忘れずに持ち帰るよう、受付端末が案内してくれるという仕組みです。
もちろんロッカーレンタル代金は、自動で電子決済してくれます。
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これが噂の「パワーヘルス」。 |
本社の建物は大きい。 |
出荷待ちの宅配ロッカーで工場の中はすでにいっぱい。 |
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(8)自動販売機・電子決済サービス
自動販売機にも非接触ICカードが埋め込まれており、どこの販売機でどの商品をいくら買ったかをサーバーで管理することができます。自動販売機はLANに接続されており、自動販売機業界が取り決めている標準認証プロトコルに完全に準拠しています。
代金は予めプリペイドとしてカードにクレジットするか、もしくは一括後払い方式の2方式を選択できます。
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自動販売機にも非接触ICカードが埋め込まれており、
どこの販売機でどの商品をいくら買ったかサーバーで
管理することができます。代金は予めプリペイドとして
カードにクレジットするか、もしくは一括後払い方式の
2方式を選択できます。 |
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(9)パソコンアクセス制御サービス
「KB−CONT」というRS−232Cインタフェースをそなえた卓上タイプの非接触ICカードリーダーが、この「受付錠」システムに連動しています。
訪問者はパソコンは使わないと思いますが、社内の人間がICカードを持つことで、電子データの社内アクセス管理にも一役買いそうですね。
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パソコンアクセス制御用の
RS−232C非接触ICカードリーダーです。 |
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3.マックポート考察
ユタカ電気は、ホテルのチェックインシステムを開発していることから、限られた空間や施設内での人間の動線をよく理解しており、その動線上で内部者と外部者をどのようにセキュリティーレベルを意識しながら管理をしていくか?を真剣に考えた、画期的コンセプト商品だと思います。
コンセプト自体が非常に大きなものなので、今回頂いた資料だけでは中々表現できていないところもあるのかな?と思いました。
ホテルやディズニーランドなどの、滞在型商業施設での利用も考えられます。
例えばディズニーランドの場合、オーランドのウォルト・ディズニーワールドでは、既にオフィシャルホテルのルームキーと様々な施設のアトラクションが自由に乗れる「フリーパスポート」が一体となった磁気カードを発行していますが、このコンセプトと全く同じだと思いました。
この磁気カードは、ホテル滞在中、レストランでの食事やディズニーランド内のお土産代金を後払いでクレジットすることができます。
今回の「受付錠」はロッカーや自動販売機も対象となっており、より日本ちっくなフィットネスクラブやスーパー銭湯、パチンコ店やゲームセンターも対象になるかもしれませんね。
非接触ICカードは1つのトークンとして利用されており、このトークンは指紋センサー付きトークンでも良いと思います。
個人認証技術である「顔認証」においても、これは指紋認証でも静脈認証でも、ユーザーニーズに沿ったものを追加していくと良いものができると思います。
ただし、今回のコンセプトを深読みしてみると、施設内において、たくさん有る扉やロッカーや自動販売機に指紋や顔認証などの高価なバイオ認証モジュールを設置するよりは、入り口の一箇所で個人認証を行って、テンポラリー的な認証証明書として非接触ICカードというトークンを発行することで、バイオ認証と同等の空間的セキュリティーレベルを実現しているところを見逃すわけにはいきません。
バイオ認証というものは、高度な生体認証技術であるから、認証には時間や制約があって当たり前。この高度な技術を些細な認証しか要求していない扉やロッカーにまで搭載しようとするところに、本来の間違えがあるのかもしれません。
それではバイオ認証証明書なるカードトークンが、時間軸としてにどのくらいの時間の間、セキュリティーレベルを保つことができるかという議論になると、これは成り済ましができる空間的可能性を考えたり、成り済ます価値がどこにあるのかを真剣に考える必要があります。
バイオ認証の認証証明書が空間的時間的にどこまでエリアを広げることができるのか?トークンのタンパー技術も鑑みながら、その可能性を広げていくことが、ひょっとしたらバイオ認証の新しい展開の道なのかもしれませんね。
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工場の中にも出荷待ち製品がいっぱいです。 |
工具はきちんと整理しています。さすがISO取得工場ですね。 |
出荷検品場所です。 |
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4.ユタカ電気「受付錠」 産業交流展2003 出展のご案内
東京ビックサイトで以下の2日間行われる「産業交流展2003」に、この「受付錠」が出展されるとのことです。
●12月16日(火) AM10:00〜PM5:00
●12月17日(水)AM10:00〜PM4:00 2日間
ブース番号は、東4ホール 「情報ゾーン」 NO.96・97
読者の皆さんも、是非足を運んでみては如何でしょうか?
ユタカ電気さんの方では、無料招待状をたくさん用意しているとのことです。
この招待状をご希望の方は、事前に郵送して頂けるそうです。
以下のフォームに必要事項をご記入の上、どんどんご応募下さい。
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