【ブリュッセル=御調昌邦】欧州連合(EU)は25日の首脳会議で、成長戦略や雇用促進などを盛りこんだ総括文書を採択し、閉幕した。会議直前に、米情報機関による独仏への盗聴・情報収集問題や南欧への移民問題が主要課題に浮上。債務危機から脱しつつある欧州が新たな難問を抱えたことが浮き彫りになった。
2日間にわたり開いた首脳会議では、総括文書に添付する形で、米情報機関の盗聴・情報収集問題について「(欧米間の)協力は尊敬と信頼に基づく必要がある」との声明を発表した。メルケル独首相とオランド仏大統領がとりまとめを主導、EUとしての共通認識を示した。
首脳会議では、今月3日にイタリア南部のランペドゥーサ島付近で移民希望者が乗った船舶が沈没し、300人超が死亡する事故が発生したことを受け、移民問題についても協議した。ファンロンパイEU大統領は25日の記者会見で「(北アフリカや中東からの)移民流入は複雑な現象だ」と説明。「予防、保護、結束という3原則で対応する」との方針を示した。
欧州委員会や加盟国が新設した「地中海のための作業部会」が短期・中期的な対応策をまとめ、12月の首脳会議に報告することで一致。法整備などを伴う長期的な対応策では来年6月に指針を決める。移民問題に取り組むスケジュールは示したが、具体策の検討は今後の課題となった。
包括的な金融行政を示す「銀行同盟」の議論では、第1の柱である銀行監督の一元化を来年11月に始動するにあたり、各国が準備を急ぐ方針を改めて掲げた。第2の柱となる単一の銀行破綻処理制度については、加盟国間で年末までに合意する方針を確認した。
総括文書には、通信などを含むデジタル分野や研究開発の競争力強化、若年雇用対策の早期実施なども盛りこんだ。欧州委のバローゾ委員長は、EUの予算を活用した中小企業の金融円滑化策について「特に財政面で大きな圧力を受けている国などには重要だ」と述べ、南欧経済の下支え効果を強調した。欧州景気には薄日が差し始めているが、成長戦略や雇用対策に取り組むことで、持続的な景気回復への基盤を強化する狙いがある。
メルケル、オランド、EU、バローゾ、FTA
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