EU:移民政策見直しへ 国境管理機能を強化
毎日新聞 2013年10月25日 20時37分(最終更新 10月25日 23時46分)
【ブリュッセル斎藤義彦】欧州連合(EU)首脳会議は25日、地中海上のイタリア最南端ランペドゥーサ島周辺で移民を乗せた船が転覆し300人以上が死亡した事件を巡り、12月までに移民船捜索など現状の移民対策を強化、来年6月までに、移民受け入れの責任分担など移民政策を抜本的に見直す2段階の改革で合意した。
首脳宣言は、移民がイタリアやマルタなど地中海の島の近くで遭難、死亡している事態に「深い悲嘆」を表明。「不法移民の防止や移民への連帯」の分野で「決定的な行動を取るべきだ」と記した。
具体的には、国境管理にあたる既存の欧州対外国境管理協力機関(FRONTEX)の機能強化など、現状でできることを欧州委員会や加盟国が設置した対策委員会が12月までにまとめる。
一方、開発援助による貧困の改善など移民が減るような抜本対策▽移民船を手引きしている違法な業者の摘発など防止策▽加盟国間の移民受け入れ分担の見直し−−など長期的な対策については欧州委などが来年6月までに提案。EUとしての新たな移民政策方針、法案、計画を定める。
EUは移民船を捜索・発見する能力が弱く、移民を「見殺しにした」と批判されている。また、移民が一番先にたどり着いた国が移民に責任を持つ、という原則に、地中海沿岸の南欧諸国から不満が出ている。移民受け入れ率もバラバラで、受け入れの多い北欧諸国からも批判がある。EUは今後、数カ月でこうした問題の克服をはかる。