MOON BABY

赤い月が輝く夜には綺麗な花束を。

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夢の代償

少年は小さな夢を持っていた。
「自分の店を出してやろう。お洒落だが安心する
空間だ。脇には少しハードなジャズバンドを置いてやるぞ。」


少年は反体制でもあった。
「先生と辞書を引くと指導者 と書いてある。導く事が
出来ないのでは、教わるに値しないではないか。」


少年は誰よりも愛する恋人がいた。
「身を呈しても守りたい人がいる。
彼女が喜ぶ顔を見ている時が一番幸せだ。」


かくして少年は、動きをみせた。




「店を出したいんだ。」

「それなら、まず経営学を大学で学びなさい。
それから政治経済、法学も学んでおきなさい。
常に社会情勢に目を向け、
心理学や弁論術も学ぶと良い。
今の時代に必要な事を学習しなければならない。
辛いからといって努力を怠っては、夢は実現出来ぬものだ。」


「しかし」少年は言いかけてその場を後にした。
努力を否定するものは怠惰と呼ばれるものだ。





「社会を変えたい。
特に子供の教育について、不当に思う。
少し考えがあるのだ。」

「まず大学へ行きなさい。
教育科で児童心理学を学んできなさい。
それとたくさん本を読みなさい。
かの偉人達が、素晴らしい言葉をたくさん残してくれたのです。
それをしっかりと読む事です。」


「いや、そうでは」少年はその場を後にした。
学歴の無いものは、話などまだ早いと言われるものなのだ。





少年は肩を落とした。
「自分は無力なのだろうか」

「そうではない。悩んでいる間に努力すれば良い。
今君に必要なのは、全てを忘れて勉学に励む事だ。
それは杞憂というものだ。」


「どうして」少年は言いかけてその場を後にした。
やりたい事だけやっていては、自分に甘いといわれるものなのだ。





かくして少年は、全てを忘れて過酷な勉学を始めた。
歯車が狂っている気がすると漏らすこともあったが、
そんな事は考えてはならぬ事なのだ。







かくして少年は、全てを忘れて勉学に励んだ。
夢も作り上げた理論も愛も忘れたが、
そんな事は大人になっていく過程で普通の事なのだ。






しばらくしてIT企業から採用の申し出があった。
少年はすぐにその申し出を受け入れる事にした。
そして少年はその事を恋人に告げた。


「時として理想は現実と違う物なのだ。
夢と称して現実の中には存在し得ない物を、探してばかりいる者は子供と呼ばれるものだ。無いものは無いと瞬時に判断する力は大人だけが持つ素晴らしい力なのだ。
言うならばこれは妥協ではない、現実の中での選択なのだ」



「そんな、、」恋人はそう言うとその場を後にした。
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キーワード:
児童心理学

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