MOON BABY

赤い月が輝く夜には綺麗な花束を。

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「全て」

いつだって「何か」は他の何かを基準にしている。

貴方の大切な人も「貴方」という基準から存在している。

善も悪も大半は「人間」を基準にしたもの。

本来の「何か」姿は何処にあるのだろうか。



「基準」が発生するとどうしても「影」または「後ろ」が存在してしまう。

言い換えるならば「死角」という物になるだろう。

私はかつて若かった頃、「基準」というものを何より高い所、

即ち全てが見渡せる所に自分を置こうと試みた。

比喩するならば、高い山へ登り、眼下に広がる世界を「全て」としようとした。


その時私は優越感を感じ、のけぞって高笑いをした。



しかし、私の上には雲があった。


空に広がる広大な雲が。


私は酷く落ち込み、思案を重ねた。

結果、冒頭に述べた様に「存在」は「死角」を作ってしまう。

決して「全て」を見る事は出来ないのだった。




私はとうとう気が狂い、眼をえぐってしまった。



「やった!私は真理を手に入れた!!!」



そう言った私の耳に微かな心臓の音が聞こえた。










それはただ、私に新しい「音」の世界が誕生しただけだった。








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