ドイツ:「米が首相盗聴」 電話で抗議、大統領は否定
毎日新聞 2013年10月24日 11時34分
【ワイマール(独東部)篠田航一、ワシントン白戸圭一】ドイツ政府のザイベルト報道官は23日、声明を発表し、米情報機関がメルケル首相の携帯電話の通話を盗聴していた疑いがあるため、首相がオバマ米大統領に電話で説明を求めたことを明らかにした。ホワイトハウスによると、オバマ大統領は盗聴を否定した。
米独間では今年6月、米国家安全保障局(NSA)がドイツ国内で毎月約5億件の電話・電子メールを監視していた事実が発覚し、米独両政府がスパイ禁止協定の締結に向け協議している。同盟国の首相の携帯電話までもが盗聴対象だったとすれば、米国への批判が強まるのは必至だ。
声明によると、メルケル首相はオバマ大統領に「信頼を著しく裏切る行為であり、こうした監視行動はすぐにやめる必要がある」と伝えた。報道官は声明で「事実なら全く受け入れられない。重大な信義違反」と米国を批判した。
カーニー米大統領報道官は23日の記者会見で、オバマ大統領がメルケル首相に「米国は首相の通話を傍受しておらず、今後も傍受することはない」と疑惑を否定したと明らかにした。
独誌シュピーゲル(電子版)によると、盗聴対象は首相の私用携帯電話で、数年間にわたって盗聴や通話記録の収集が行われた形跡があるという。同誌は取材過程で首相に対する盗聴疑惑をつかみ、ドイツ政府が分析の結果、盗聴の確信を深めたと伝えた。
米情報機関を巡っては、仏紙ルモンド(電子版)が21日、NSAが仏国内で昨年12月〜今年1月に7030万件の盗聴を行ったと報道。米政府がメキシコのカルデロン前政権の電子メールシステムに侵入していたことも報道され、オバマ政権は釈明に追われている。