【奈良部健】宮崎駿監督の引退作「風立ちぬ」で登場した零式艦上戦闘機(零戦)が静かなブームだ。主人公のモデルとなった設計者の堀越二郎氏(1903~82年)が勤めていたのは、名古屋市内にある三菱重工業の工場。同社の小牧南工場(愛知県豊山町)に展示されている復元機を見に来る人が増えている。

 映画は、日本が太平洋戦争に突き進むころ、堀越氏が零戦の設計に没頭する姿を描く。公開後、一般の見学者はみるみる増加。8月は前年同月の3倍の385人、9月は13倍の383人だった。公開前は戦闘機ファンが多かったが、家族連れや若者、女性も目立つ。

 零戦は、ミクロネシア連邦のヤップ島で放置されていた残骸を元に、三菱重工の技術者らが90年に復元した。加速や旋回に秀でる零戦は、軽く、表面が滑らか。「1グラムでも軽くする」が口癖だった堀越氏は、銃弾からパイロットの命を守るためにつけた操縦席の背もたれの鋼板も外した。

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