■悪意ある消費者横行も
外国企業は中国が最近消費者法の強化し、中国版のブラックコンシューマー(悪意を持つ消費者)とも言われる「王海現象」がエスカレートすることを懸念している。中国は1993年10月、消費者法を施行し、虚偽や誇張を伴う広告や偽造品で被害を受けた消費者に企業が該当商品の価格の2倍を賠償しなければならないと規定した。
それを悪用したのが、山東省に住んでいた無職の青年、王海氏だった。王氏は95年に消費者法の規定を巧妙に使って、製品が広告とわずかに異なる点やささいな問題ばかりを取り上げ、企業に相次いで訴訟を仕掛け、多額の賠償金を受け取った。
問題は中国当局が消費者法をさらに強化する内容の改正案をまとめたことだ。改正案によると、賠償額は現在の商品価格の2倍が4倍に引き上げられる。北京の外国企業関係者は「賠償額が増えれば、王海現象が横行するはずだ。中国市場でシェアが高い外国企業が標的になる可能性が高い」と指摘した。
消費者法改正案は、商品に問題がなくても、購入後1週間以内であれば、いつでも返品を認める権利(後悔権)まで認めている。現代自動車の現地法人関係者は「9月から自動車の交換・払い戻し規定も厳格化された。例えば、カーナビゲーションで同じ故障が3回続けば、車両自体を交換しなければならない」と漏らした。
北京の外交消息筋は「中国当局が自国企業を保護するため、シェアが高い外国企業をけん制しているとの不満の声が上がっている。消費者保護は重要だが、国際基準や常識とは相容れない行き過ぎた規制は困る」と話した。