リアルサウンド 10月23日(水)16時34分配信
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関ジャニ∞『JUKE BOX(初回限定盤A)(DVD付) 』( インペリアルレコード) |
オリコンが発表した2013年10月14日〜20日のCDアルバム週間ランキングで、関ジャニ∞『JUKE BOX』が1位を記録した。2位のポール・マッカートニー『NEW』との差は30万枚。この結果を、音楽ライターの石井恵梨子氏が分析する。(リアルサウンド編集部)
1位と2位が初登場。その売上枚数の落差に注目したい。関ジャニ∞の『JUKE BOX』は32万2957枚、2位のポール・マッカートニーは30万をごっそり差し引いた2万2817枚である。
もちろん関ジャニは通常版のCDだけでなくDVD付きの初回限定盤をAタイプとBタイプ用意しているので、律儀なファンは勢い込んで三枚同時に購入するだろう。音楽も映像も、いや、キャラやトークも含めて楽しめる関ジャニ∞だ。かたや、11年ぶりの来日公演が近づいているとはいえ、ポール・マッカートニーにDVD盤はないし、あってもさほど需要があるとは思えない。オジサンたちはしみじみと対訳を読み耽る程度だろう。ファンの鼻息を比べても仕方がないのだが、それにしても32万と2万の差は大きい。それが1位と2位に並ぶことがもっと衝撃だ。30万人、どこ行った!?
結局アイドルしか売れないんだよ、とボヤいてみても、韓流アイドルSHINeeはわずか9430枚で7位。アイドルグルーブすべてが売れるわけでは決してないだろう。ジャニーズは売り方がやはり上手いのだ。グループごとの明確なキャラ設定。そしてそのキャラクターに合わせた作曲家陣のチョイス。関ジャニを見ていると、その手腕につくづく感心する。
「ズッコケ男道」や「ワッハッハー」という過去のシングルからもわかるとおり、最初から三枚目路線を用意され、その道を自ら楽しんできたグループというのが関ジャニのざっくりした印象だろう。ロック界のドリフこと怒髪天とタッグを組んだのもアイドルとして異例だし、増子直純&上原子友康は今回のアルバムにも参加している。ただ、近年の作品は決してお笑い路線にあらず。ヒャダイン、井上ジョー、SEKAI NO OWARI、童子-T、キマグレンなどが楽曲を書き下ろした新作は、文字通り『JUKE BOX』、いや、現在ポップシーンの縮図と言っても過言ではない。
どんな曲でも気取らず、妙なナルシシズムを盛り込まず、本気で楽しんで歌いこなす関ジャニ∞の姿もいい。嵐について語る青井サンマ氏の発言、「アイドルというのは、一流のクリエイターを紹介するプラットフォームの役割もある」に深く頷いた。関ジャニがもっともっと売れれば、2位以下でごっそり消えた30万人が新しいCDを探し求め、チャートの世界がまた活性化する日も……来るだろうか。
石井恵梨子
最終更新:10月23日(水)17時0分
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