JR東海が計画するリニア中央新幹線の環境影響評価(アセスメント)の県内分を審議する県環境影響評価技術委員会は24日午後、引き続き飯田市から木曽郡南木曽町まで視察し、県内路線一帯の現地調査を終えた。絶滅の危険が増しているサギ科の鳥「ミゾゴイ」が下伊那郡大鹿村で確認されたことに関連し、亀山章委員長(東京農工大名誉教授)は視察後の取材に、希少種の生息環境などJRの保全措置に関する妥当性を「その都度検討していく」と指摘。技術委として詳細に検証する考えを示した。
ミゾゴイは環境省のレッドリストで「絶滅危惧2類」に指定。絶滅の危険性が高いとされる「1類」に次ぐ希少性がある。亀山委員長はミゾゴイだけでなく、「(クマタカなどの)猛禽類は特定の地域を選んで営巣するので事業区域内に営巣地があるかないかが重要だが、広範囲に営巣するものもいる」と説明。種ごとの特性を踏まえて検討していく必要があるとした。
視察は、同日午前に県内東端の大鹿村をスタートし、南木曽町まで沿線5市町村の計10カ所で行った。リニア県内中間駅の西の端に当たる飯田市上郷飯沼の住宅地で、路線とJR飯田線が交差する付近についてJR東海の担当者は「飯田線の約10メートル下方を(トンネルで)リニア路線が進む」と明らかにした。南木曽町の視察で同社側は、名所の男滝・女滝の北側付近を通るトンネルの深さについて「地下約70メートル」とした。
技術委は11月中旬に県庁でリニア審議の初会合を開き、3回以上の審議を通じて意見をまとめる。阿部守一知事は来年3月までに、技術委の意見を踏まえ、準備書に対する意見をJR東海に提出する。