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「国民の不利益」特定秘密保護法に吉野文六氏元外務省アメリカ局長が警鐘

2013年10月25日

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 政府が今臨時国会で制定を目指す特定秘密保護法について、1971年の外務省機密漏えい事件につながる沖縄返還交渉に当たった元外務省アメリカ局長吉野文六氏(95)が神奈川新聞社の取材に応じ、「罰則を強化すれば秘密の範囲が拡大し、国民の不利益につながる」として法案に反対する考えを示した。沖縄返還をめぐる密約の存在を否定し続けるなど、国家権力の中枢で機密情報を扱った経験を踏まえ、公務員の萎縮に警鐘を鳴らすものだ。

 法案は、国の安全保障に関わる情報を「特定秘密」に指定し、漏らした公務員を最高で懲役10年、不正に取得した側も10年以下の懲役とする内容。情報の漏えいは国家公務員法や自衛隊法ですでに禁じられているが、一律に罰則が強化される。法案は25日に閣議決定され、臨時国会に提出される見通しだ。

 吉野氏は、政府高官として外交交渉を担った経験から「国にはすぐに知らせるべきではない情報が存在し、一時的に機密を抱えることは否定しない」とする。

 その上で、罰則の強化によって「あらゆる情報が極秘になってしまうだろう。罰則を恐れるのは自然なこと」と、秘密情報の範囲が拡大していく可能性を指摘。国の政策について国民が判断する材料が失われるだけでなく、「公務員同士や省庁間で必要な情報が共有できなくなる事態が生じかねない。組織の中で皆が考え、判断することができなくなり、国の組織としての力が鈍ることになる」と危惧する。

 法案では秘密を扱う公務員の適性評価を義務付けており、「法を根拠に恣意(しい)的な人事がなされる可能性がある。有能な人材が本来の能力を発揮できない事態が起こりうる」とし、「それも国民の不利益だ」との考えを示した。

 沖縄返還をめぐる外務省機密漏えい事件では、日米間の密約情報を入手した新聞記者が逮捕され、有罪となった。返還交渉に当たった吉野氏は密約の存在を一貫して否定し続け、2000~02年に密約を裏付ける米政府公文書が見つかると、一転して存在を認めた。

 機密を管理するあり方について吉野氏は「公務員が職責とプライドをかけ、自ら守るべきこと。法律でさらに厳しく縛るのはおかしい」との持論を述べ、特定秘密が内閣の承諾があれば30年を超えても秘密であり続ける点も問題視。「外交上の高度な秘密も公開が前提でなければならない。公表の時期や方法を工夫し、あらゆることを国民が知ることができるようにしておくべきで、それが権力の暴走に対する歯止めになる」と強調した。

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