【ソウル=中野晃】朝鮮半島で仏教が栄えた高麗時代の仏画が500余年ぶりに日本から韓国に戻り、24日からソウルで展示されている。対馬で盗まれた高麗期の仏像の返還が日韓の懸案となる中、貴重な文化財を紹介したいという韓国の関係者の求めに所有する山梨の寺院が応じ、初めての「里帰り」を果たした。

 仏教系で知られる東国大の博物館長の鄭于澤(チョンウテク)教授(美術史学科)は昨年、山梨の寺を訪ね、朝鮮半島由来の仏画を調査した。創建時の約500年前から本尊としてまつってきたとの記録があったが、鄭教授は仏画の隅に制作年代として「1359年」のすかしがあるのを発見。「純金で描かれた高麗仏画が日本に」と韓国の学会で発表した。

 寺に何度も足を運んだ鄭教授は今年、同館の開館50周年の特別展で紹介したいと提案。寺側は承諾し、地元の関係者を集めて17日に法要をし、門外不出だった秘宝を初めて送り出した。

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