WRAPUP 1-世界製造業PMI、10月は中国好調 米は政府閉鎖の影響で1年ぶり低水準
* 米製造業PMIは1年ぶり低水準
* 中国製造業PMIは7カ月ぶり高水準
* ユーロ圏PMIは失速
[ニューヨーク/ロンドン 24日 ロイター] - 24日に発表された世界の10月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は、中国が7カ月ぶりの水準に上昇した一方、米国では政府機関閉鎖の影響で1年ぶりの水準に低下、ユーロ圏はやや失速するなどまちまちの結果となり、世界経済は依然として一様でないことが示された。
<米国>
米国では、予算案が不成立となったことを受け今月1日から16日まで一部政府機関が閉鎖。これにより製造業の生産活動が阻害されたと見られており、第4・四半期の成長率の押し下げ要因となる恐れがある。
マークイットが発表した10月の米製造業PMI速報値は51.1と、2012年10月以来1年ぶりの水準に低下。ロイターがまとめたアナリスト予想は52.5だった。
生産は2009年終盤以来およそ4年ぶりにが減少。内訳の生産指数は前月の55.3から49.5に低下し、拡大と縮小の分岐点となる50を割り込んだ。
今回の調査期間は10月1日から始まった政府機関の閉鎖と一部重なっている。
マークイットの首席エコノミスト、クリス・ウィリアムソン氏は「指数低下の要因に関して、政府機関の影響をその他の要因から切り離して考えることは不可能」としながらも、「この財政危機により引き起こされた混乱と不透明さが企業に大きな打撃を与えていることをデータは示している」と指摘した。
エコノミストの間では、今回の政府機関の一部閉鎖により、第4・四半期の成長率が押し下げられるとの見方が出ている。ロイターが前週、約70人のエコノミストを対象に実施した調査では、第4・四半期の成長率は2.3%と、前四半期の2.5%から鈍化するとの予想が示された。
<中国>
一方、世界第2位の経済規模を持つ中国は好調。HSBCが発表した10月の中国製造業PMI(季節調整済み)速報値は50.9と、9月の50.2から上昇。新規受注の増加に押し上げられ、7カ月ぶりの高水準となった。
HSBCのエコノミスト、Qu Hongbin氏は「第3・四半期に底入れした経済は、第4・四半期に入り回復が確かなものになりつつある」と指摘し、「この勢いは今後数カ月続くと見込まれ、構造改革を加速させるため好ましい状況になる」との見方を示した。
1─9月の中国国内総生産(GDP)伸び率は7.7%を記録。政府が掲げる2013年の7.5%目標達成に向け経済は回復軌道に乗っている。
<ユーロ圏>
ユーロ圏はやや失速。マークイットが発表した10月のユーロ圏PMI速報値は、総合が51.5となり、2年ぶり高水準を記録した前月の52.2から低下し、予想の52.5も下回った。
キャピタル・エコノミクスのシニア・グローバルエコノミスト、アンドリュー・ケニガム氏は、「過去数カ月間、多くの先進国で景気指数は回復してきたが、水準自体はこれまでと比べてそれほど高いわけではない」と指摘。「今回の統計で、今までに見られた回復が弱まっていることが示された」と述べた。
ユーロ圏のサービス部門PMIは前月の52.2から50.9と大幅に低下。予想の52.4を下回った。
国別で見ると、ドイツでは製造業部門は前月より堅調だったが、サービス部門は低下。フランスでは製造業とサービス部門のPMIはともに予想を下回った。
INGのマルティン・フォン・ビレット氏は、「ユーロ圏経済の回復は続くとみているが、今回のPMIが予想を下回ったことで、回復は一様でなく、足取りは重いとの見方が裏付けられた」と述べた。
マークイットは、今回の統計から第4・四半期のユーロ圏の成長率は0.1─0.2%になると試算。ロイター調査でもほぼ同様の予想が示されている。
10月のPMIに関する記事は以下をご覧ください。 米国 中国 ユーロ圏
関連グラフィックは以下をご覧ください。
米国・中国・ユーロ圏の比較 link.reuters.com/zuf89t
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