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2012年03月15日

『ゲーミフィケーション』著者 井上明人氏インタビュー

【井上明人氏インタビュー】ゲーミフィケーションとは何か――オバマ、ナイキ、そしてAKB48

AKB48とゲーミフィケーション

――以前からあったノウハウを低コストで実現できるようになったことが、ゲーミフィケーションが注目されるきっかけになったと。

 井上氏■日本ではまだ海外のような成功事例が少ないので、ゲーミフィケーションというものがうまくイメージされてないような気がします。そのせいで一部では「ゲーミフィケーション=ソーシャルゲームのノウハウ」というような説明がなされたりしており、ちょっと理解のされ方にズレを感じます。まったくの間違いではないのですけど、それだけの話でもないので。

――確かにソーシャルゲームは「ゲームそのもの」に近い気がしますし、それだけでゲーミフィケーションを理解するのは難しいですね。日本の事例だと、情報環境研究者の濱野智史さんが「AKB48はゲーミフィケーションだ」と『文化系トークラジオLife』の「ゲームと社会設計」をテーマにした回でおっしゃっていたのが興味深かったのですが。

 井上氏■AKB48はゲーム的な仕掛けを大量にやっていますね。一番顕著なのは、選抜総選挙で自分の出した票がダイレクトに結果に影響を与えられるかどうかのギリギリのラインを設定できていることです。15位前後くらいの人だと100票とか200票の差で順位が入れ替わっているので、それはたくさんCD買ってでも投票したくなるだろうなと思いますね。参加者のモチベーションを上手く煽ることができている。

 握手会でメンバーに認知してもらうのを目指すというのも、ひとつの楽しみ方になっているみたいです。秋元康ではなくファン側がゲームをたくさん呼び込んでいるというのが特徴ですね。
 
――CDは1人1枚しか買わないのが前提だった中で、1人で複数枚買いたくなる仕組みができている。確かに今の音楽業界でセールス的にあれだけ成功している事例は他にないですよね。

 井上氏■AKB48の場合は、自発的に仕掛けていないところまでファン側がゲーム化しているので、今言われているゲーミフィケーションとはまた違う文脈であることに注意したいですが、理解のとっかかりとしてはいいと思います。ビジネスとしてはかなりミラクルな技を色々飛ばしている事例なので、そういう点では参考になるところは多いと思いますね。

――ゲーミフィケーションが注目を集めている背景には、「ビジネスに活かせるのではないか」との期待が高まっていることもあるかと思うのですが、そのあたりはこの本を出されてからの反響を踏まえて、いかがでしょう?

 井上氏■ゲームの話だとどうしても10代から30代くらいの方に限定されがちなんですけど、ありがたいことに40代や50代の方からも反響があります。もともと今回はゲーム好きのみならずビジネスマンにも読んでほしいと思って書いたので、それはすごく嬉しいですね。やっぱりその世代の方に読んでいただかないと、ゲームの話って普及しないと思うので。

 僕自身、「ゲーム研究をしている」って言うと、年上の方から「ゲームなんて」って目で見られることも多くて、彼らを説得するためのチャネルを作りたいという気持ちがずっとありました。そうしないと僕の日本で生きていく術がないので(笑)。だから、普段ゲームをやらない方からも面白かったと言ってもらえたので、今回はその役割をちょっと果たせたかなと思っています。

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