始まりは安曇学園の閉鎖だった。
いつか……。ふと思ったことがある。
俺の胸の中で永遠に繰り返されるだろうこの物語は実は俺たちだけが見た幻ではないだろうか…。
安曇学園が閉鎖となったこの年、俺たちはうつりゆく季節の中でお互いの大切さを確認し合った。
現実とも言えないあの時間の中では、それだけが自分を確認できる唯一の手段だった。
だが、他人は言う。
「そんなことは何もなかった。お前は幻を見たのだ」と。
それでいいのかもしれない。
夢であれ幻であれ、俺はこの事を忘れはしない。
彼女が俺を優しい笑顔で見つめてくれるのなら、俺は何よりもそれが一番大切だから。