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判断は情報に依存する。
ゆえに情報源の不正は不公正な判断を導く。
判断ではなく、情報源が善悪を決定する。
Re-anger主催(キタノ)北の系2005

20050217 人権擁護法案/盗聴法戦犯死去

関口祐弘元警察庁長官@盗聴法戦犯死去

 

暴力団と関係の深い人物とゴルフに興じ接待を受け、「ライトプランニング事件」の捜査打ちきり事件に関与した疑惑があることでも知られる関口祐弘元警察庁長官@盗聴法戦犯が、2月12日、肺癌で死去したとの報道がありました。

オウム事件で陣頭指揮したと報道されていますが、オウム真理教事件の捜査では未解決事件をたくさん残した張本人が関口長官であり、人権無視の違法な捜査を繰り返したために人権上悪い法運用の前例をつくったばかりだけではなく、オウム真理教の信者の信仰を固くさせて捜査を困難にさせた事実もありました。

 

関口元警察庁長官が死去 オウム事件で陣頭指揮

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050209-00000123-kyodo-soci

1963年東大卒。山梨県警本部長、大阪府警本部長、警察庁次長などを歴任、97−2000年まで警察庁長官を務めた。国松孝次元長官の後を引き継ぎ、オウム真理教事件の捜査を指揮。通信傍受法などの成立に尽力した。

 99年に神奈川県警で外事課警部補の覚せい剤使用に絡み本部長が関与した組織ぐるみの隠ぺいが明らかになるなど、全国で不祥事発覚が相次ぎ対応に追われた。

 

関口元長官の背徳行為については、噂の眞相の特集が詳しいので、関口元長官の功罪を正しく評価するため、抜粋引用します。

 

噂の眞相

http://www.uwashin.com/

99年10月号特集1

全国警察のトップに君臨する権力者関口祐弘警察庁長官の”背徳”

● 本誌特別取材班

則定衛・前東京高検検事長の女性スキャンダルに続いて、TBSの乱交パーティと、目下スクープ続きの『噂の真相』だが、実はここ数カ月、本誌を巡って、何やら物騒な噂が一部でしきりに飛び交っているのだ。

その噂とはズバリ、「警視庁が『噂の真相』を狙っている」というもの。まず警視庁詰め記者が語る。

「則定スキャンダルの第二弾が掲載される直前、『噂真が則定に続いて、関口(祐弘警察庁)長官のスキャンダルをブチ上げる』という噂が流れ、その直後、今度は『関口の命令で、警視庁が岡留編集長の周辺を洗っている』という情報が入ってきたんです」

つまり「則定の二の舞になる前に、編集長を『別件』でパクッて、記事を潰せ!」という作戦なのだ。が、本誌7月号の編集長日誌にも書いてある通り、以前に会議で話題になったことは事実だが、実際に企画に上ったわけでも、取材に入ったわけでもなかった。

そんな折も折、6月初めに『週刊文春』が、関口の「ゴルフ会員権疑惑」の記事を掲載。このため本誌が関口スキャンダルをブチ上げるという噂にさらに拍車がかかったという。前出の警視庁詰め記者が続ける。

「『文春』の記事で関口は完全にナーバスになり、子飼いの幹部に『文春はもういい、噂の真相が何をやってるか調べろ』と指示。おまけに刑事総務課に『編集長の身辺を徹底的に洗え』という指令を出したんです」

警察庁長官といえば、全国数万人もの日本警察のトップに立つ人物。いわば国家権力の頂点に立つスーパーエリートである。そんな「法の番人」が、本誌のようなゲリラ雑誌ひとつに何をそれほどビビっているのか。本誌の動きにそれほど神経質になるということは、何かやましいことでもあるのかと考えざるを得ない。前出の記者がさらに続ける。

「結局、警視庁が徹底的に洗っても、編集長の身辺からは何も出なかったみたいですね(笑)。しかし、それでもまだ警視庁は『編集長でなければ、編集部員の誰でもいい』、『1年かかっても、調べ上げろ』と、今でも別件探しに躍起になっているようですよ」

ったく…。血税の無駄遣いとしか言いようがないが、警察庁、いや関口がそんなにスキャンダルをブチ上げて欲しいのなら、本誌としても期待に応えてやらねばなるまい。関口にしてみればまさにヤブヘビと言わざるを得ないが、本誌は今回、新たに特別取材班を編成。本誌に対する「別件探し」に血道を上げる警視庁に対抗して、関口の身辺、過去を徹底的に「洗って」みたのだ。

暴力団との関係が噂される人物との癒着

最近の関口をめぐるスキャンダルといえばやはり前述した『週刊文春』が報じた「ゴルフ会員権疑惑」だろう。文春によると、関口は8年前、旧知の芸能プロ社長の勤めで「東京財資ゴルフ損楽部」の2520万円のゴルフ会員権を購入したという。

「東京財資は、平和相銀事件や東京佐川急便事件でも名前が取り沙汰され、暴力団との関係も噂される『愛時資』のグループ企業。そんないわくつきの企業が計画していたゴルフ場の会員権を、いくら自分の金で購入したからといっても、日本の警察トップとしてはワキが甘過ぎる」(大手紙社会部記者)

文春はこの疑惑を6・10、7号と2週にわたって掲載。2号目では関口に会員権購入を勧めたとされる芸能プロ「沢井プロダクション」社長、沢井唯一との癒着を追及した。が、関口はこれらの疑惑を突っぱね、他のマスコミも後追いせず、文春の追及も第2弾止まりだったため、警察トップに関する疑惑追及は結局、うやむやに終わったのである。

ところが、この疑惑に登場する関口と沢井の関係はどうやら、文春のいう「やましすぎる関係」などという生易しいものではないらしいのだ。沢井プロ関係者が語る。

「文春にはあのゴルフ会員権は関口さんが(沢井)社長に勧められて買ったと書かれていましたが、実はあの会員権は関口さんが社長からもらったものらしいんです」

この関係者が続ける。

「関口さんが山梨県警本部長から東京に戻った後、社長と栃木県にある東京北ゴルフ倶楽部で一緒にプレーしたんです。その際、関口さんは、あの会員権を社長におねだりし、後に社長がプレゼントしたと聞いています」

このゴルフ会員権については、関口はあくまでも自分で買ったものと主張。沢井からの譲渡は否定しているものの、関口が沢井とゴルフ接待を受けるほど親密な関係にあったことはどうやら間違いなさそうだ。関係者がさらに続ける。

「文春にもそれらしきことが書いてありましたが、私が知っているのは、もっぱらクラブでの接待ですね。新宿に沢井さん行きつけのクラブがあるのですが、以前この店が麻布にあったときは、関口さんはよく社長に連れられて来てましたよ」

では、沢井が関口を接待漬けにした「見返り」は一体、何だったのか。関係者が続ける。

「何といっても関口さんは大物ですからね。社長もタレントの交通違反モミ消しなんかをお願いするわけにもいかないでしょう。ただ、8年ほど前、沢井プロに所属し、”プッツン女優”と呼ばれていた藤谷美和子にクスリ疑惑が持ち上がり、警視庁が内偵していたことがあったんですが、その時はよく関口さんに電話をしていたようですね」

8年前といえば、関口が警察庁刑事局保安部長時代の話だ。そして警察庁刑事局保安部長といえば、全国の薬物捜査を指揮する立場にある。関係者が続ける。

「まさか関口さんが社長の依頼で、捜査を握り潰したなんてことはないでしょうが、社長は何らかの方法で捜査情報だけは掴んでいたようなんです」

コトの真偽はともかく、当時、警察庁の重職にあった関口が、芸能プロ社長から度重なる接待を受けていたということで、「法の番人」としての資質が問われるのは間違いない。しかもこの沢井という男、ただの芸能プロ社長ではなく、そのスジでは有名な人物なのである。というのも、沢井は一時、京都に本拠を構える広域暴力団、会津小鉄の構成員だと噂されていたのだ。京都府警関係者が語る。

「沢井が会津小鉄の若い衆やという話は、本人が昔、吹聴しとっただけで、ほんまは組員やない。ただ、関係はある。というのも、昔、会津小鉄に皇民党事件でも名前が取り沙汰された、三神忠(故人)いう有名な極道がおったんやけど、沢井はこの三神を崇拝しとってな。若い衆同然にふるまっとったんや」

日ごろ「暴力団の徹底した取り締まりを」などと訓示をたれている天下の警察庁長官が過去、暴力団と関係の深い人物とゴルフに興じ、接待を受けていたとは驚きだ。が、そもそもこの2人はどうやって知り合ったのか。

(中略)

関口が大阪府警本部長時代に「潰した」と疑惑を持たれている「大型経済事件」とは一体何だったのか。その疑惑の核心を探るべく、取材班は一路、大阪に飛んだ。

● 潰された”第二のイトマン事件”

戦後最大級の経済事件といわれたイトマン事件の捜査が終盤にさしかかっていた90年代前半、大手金融機関が関与した”第二のイトマン事件”と呼ばれた新たな大型経済事件が関西に浮上した。

大阪の不動産会社「ライトプランニング社」(現在は社名変更・以下ラ社)が、バブル期に松下電器産業のノンバンク「ナショナルリース」からピーク時に970億円の融資を引き出すなど、様々な形で巨額の資金を調達し、大阪・キタなどで次々と大規模で違法な地上げを展開。その一方で大阪府警幹部や大阪市幹部がこのラ社からゴルフ接待や高級クラブでの饗応を受けていたことが発覚し、関西経済界だけでなく大阪府警、大阪市までを巻き込んだ一大事件に発展した。後に松下電器産業社長辞任の引き金になり、大阪府警関係者から「ライトプランニング事件」と呼ばれた疑惑である。

(中略)

「あとはMのガラ(身柄)を押さえるだけやった。とりあえず会社設立の際の公正証書原本不実記載と商法違反でな。その後、Sを共犯でパクって、最終的には大阪市職員のサンズイ(汚職)まで上ろうという段取りやったんや」(前出・捜査関係者)

ところがその防犯時捜隊の捜査に、ある日突然「待った」がかかったというのだ。今度は当時を知る大阪地検関係者が証言する。

「あれは確か93年の秋ごろの話や。どうやら府警の上層部から現場に対して何らかの圧力がかかったらしい。そもそもあの事件に潰れるような要因はなかった。当時の防犯特捜隊の調べはカッチリしとったし、なによりウチの特捜検事がMの身柄を取るのにGOサインを出しとった。にもかかわらず、府警の上層部は待ったをかけたんや。逆のケースはなんぼでもあるけど、通常考えられんこっちゃ。現場の捜査員も当時、『”上”から圧力がかかりましたわ』ってえらい悔しがっとった」

(中略)

●捜査潰しの背景に隠された驚くべき疑惑

大手金融機関の組織的関与や、巨額の資金の複雑な流れなどから”第二のイトマン事件”と呼ばれた「ライトプランニング事件」。その捜査はなぜあと一歩というところで潰されたのか。そして現場の捜査員にブレーキをかけた”上”とは一体、誰なのか。当時を知る三和銀行関係者を当たったところ、取材班は複数の三和銀行関係者から驚くべき証言を得たのである。ある三和銀行関係者が絶対匿名を条件に語る。

「確かに当時、府警の捜査が三和の足元まで迫っていたのは事実です。それが急に捜査が中断されたと聞いたんで、こちらとしても正直、驚いたのを覚えています。が、後になって『あの件では渡辺頭取自身が動いた』と聞いて納得しました。当時の府警本部長は関口さんですからね。三和の上層部で渡辺さんと関口さんの仲を知らない者はいませんよ」

確かに関口は92年9月から94年の7月まで大阪府警本部長に就任している。92年9月といえば、間違いなくライトプランニング事件の内偵の真っ最中である。関係者が続ける。「実は渡辺さんと関口さんは、関口さんが府警の捜査二課長時代からの仲らしく、2人の間には太いパイプがあるんです。関口さんが本部長時代に子飼いといわれた宮本(●”人偏に長”・元大阪府警総務部長)さんは現在、三和の顧問に就いているんですが、これも関口さんの強い後押しがあったからだといわれています」

関口が府警捜査二課長時代に関西人脈を広げたことは先にも述べた。そしてその人脈の中心が渡辺をはじめとする三和銀行上層部だったというワケである。が、この関係者によると、関口は今も、ある「会」を通じて、三和銀行との”親交”を深めているというのだ。   

関西空港から車で約1時間、大阪府豊能郡能勢町にある「アートレークゴルフクラブ」。関西屈指の名門コースとして知られ、会員には渡辺相談役をはじめ、三和銀行の上層部も名を連ね、三和銀行の接待用ゴルフ場とも言われている。前出の関係者が語る。

「ライバルの住友が、『花月会』を通じて、検察・国税人脈を着々と築いていたことに焦った三和が目をつけたのが警察人脈。そこで渡辺さんが頭取時代に作ったのが、このアートレークゴルフクラブを舞台にした『アートレークの会』なんです。コースを回った後は、鰻谷界隈の料亭で食事。そしてキタの高級クラブに流れる……というのがお決まりのコースで、接待費は全て三和持ち。この会を通じて三和は、府警に着任したキャリアに対する接待攻勢を強めていったんですが、その中心メンバーが、関口さんだったんです」

まさに「花月会」に見る住友銀行検察主流派との癒着ぶりに勝るとも劣らない関係である。

(女性スキャンダル部分省略)

いやはや、こんなスキャンダルまみれの人物でも長官になれるのだから、警察が身内の不祥事に寛容過ぎるのも、至極当然の話だ。

が、本誌にこれだけスキャンダルを暴かれた関口が、警察という捜査権をもった国家権力を恣意的に運用し、ありとあらゆる「別件」で本誌に弾圧を加えてくるであろうことは十分に予測できる。前出の警察庁関係者が語る。

「今年4月にあの麻生畿が、尾行していた公総(公安総務課)の捜査員と挟み合いになったのは知っているだろう。実は麻生に尾行をつけさせたのは関口の指示。ご存じの通り、麻生のネタ元は、”反関口”ともいえる大森(義夫・元内閣情報調査室室長)一派だからね。関口は公総を使って、誰が麻生に内部情報を漏らしているか突き止め、大森一派を潰すつもりだったんだ。ウチのPRをしてくれる麻生まで、反対勢力の押さえ込みのためにツケ狙うような陰湿な男が、だ。あんたたちを狙わないワケがないじゃないか(笑)」

自分のワキの甘さを棚に上げておいて、「別件逮捕」などという姑息な手段で本誌弾圧を目論むなどとは、まさに権力の私物化以外何ものでもない。が、こんな発想の持ち主がトップに君臨する警察庁は遂に悲額の盗聴法という”秘密兵器”も手に入れた。まさに暗黒の警察国家の到来、である。<敬称略>

 

参考リンク。この記事も面白い。

 

■The Incidents

http://www.incidents.gr.jp/index-right.htm

関口祐弘・前警察庁長官が料亭でドンチャン騒ぎの現場写真

http://www.incidents.gr.jp/0003/terasawa000304/terasawa000304.htm

写真

http://www.incidents.gr.jp/0003/terasawa000304/sekiguchi1.htm

写真

http://www.incidents.gr.jp/0003/terasawa000304/sekiguchi2.htm

 

こういう警察に「有害図書の有害性・違法性の判断」を含めた「青少年健全育成」をまかせっきりにしたまま検証もしない社会。それが日本という国です。青少年を健やかに育てたいなら、まず警察の健全化に取り組むのが先ではないでしょうか。>全国の父兄のみなさん

関口氏も、18歳ぐらいのときにはもしかしたら正義のために警察官として働きたいと心の中で思った時があったのかもしれません。しかし、彼のその後の人生は、金と権力への道でした。

なにが彼をそうさせたのか、死んでしまった今となっては、確かめる術はありません。

 

盗聴法(通信傍受法)関連ログ。

 

NEWS23多事争論「盗聴/通信傍受」カテゴリー

http://d.hatena.ne.jp/kitano/20041129#p3

第20回参議院選挙候補者盗聴法賛成者リスト(その1)

http://d.hatena.ne.jp/kitano/20040710#p1

第20回参議院選挙候補者盗聴法賛成者リスト(その2)

http://d.hatena.ne.jp/kitano/20040709#p1

祝・盗聴法制定戦犯落選

http://d.hatena.ne.jp/kitano/20040712#p2

続・サイバー犯罪条約&児童ポルノ選択議定書

http://d.hatena.ne.jp/kitano/20040320#p4

盗聴法廃止請願が法務委員会に付託されました。

http://d.hatena.ne.jp/kitano/20040222#p1

■北の系

http://zirr.hp.infoseek.co.jp/

資料/通信傍受に関する全行政文書ファイル情報

http://zirr.hp.infoseek.co.jp/020206.html

特別資料/警察庁「監視」関連文書リスト(その2)

http://zirr.hp.infoseek.co.jp/020297.html

法制審議会刑事法(ハイテク犯罪関係)部会第4回会議 議事録

http://zirr.hp.infoseek.co.jp/020332.html

法制審議会刑事法(ハイテク犯罪関係)部会第7回会議 議事録

http://zirr.hp.infoseek.co.jp/020335.html

法制審議会刑事法(ハイテク犯罪関係)部会第8回会議 議事録

http://zirr.hp.infoseek.co.jp/020336.html

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人権擁護法案:権力による人権侵害を権力自身で判定できるのか?

 

前衆議院議員の植田むねのり氏が、今国会で審議予定の人権擁護法案について批判しています。

「公権力による人権侵害の相談を、人権侵害をおかした公権力がその相談に乗るなんて、どう考えてもおかしな話」という指摘については同感です。

 

■植田むねのり前衆議院議員(社会民主党/近畿ブロック)

http://homepage3.nifty.com/munemune/

前衆議院議員・植田むねのりの食生活日記(^_,^)

http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000063020

204号 2005年2月2日(水)

http://backno.mag2.com/reader/BackBody?id=200502021250000000063020000

法案そのものはまだ僕の手元にはないので、仔細にわたって指摘することはかないませんが、新たに設置する人権委員会を法務省外局とすることは変わっておらず、それゆえ国際水準を満たした国内人権機関とは言い難いという基本的な問題はなにも解決されていません。

2年前にも、僕は法務省ではなく内閣府外局とすべきだと主張していましたが、それは、法務省は人権擁護行政をつかさどるのであって、その行政が人権擁護に寄与しているか否かを判断するのが、法務省外局となれば、人権機関としての独立性は保障できない。まるで受験生が自分で採点し自分で合否判定をするようなものだ、という点でした。

それに、地方にも人権委員会をこしらえるといっても、事務局を担うのは法務局の職員なのです。国相手に訴訟を提起した際に被告側で登場するのが、法務局の担当者なのです。彼らが現場で人権委員会をも担うとどうなるのか? 人権侵害のなかには、行政のあり方に人権を侵害する問題が指摘されることもあります。公権力による人権侵害です。仮にその問題を地方の人権委員会に訴えると、相手は法務局の職員すなわちもし訴訟に持ち込んだら、被告席に座る人間が対応するということになるのです。

公権力による人権侵害の相談を、人権侵害をおかした公権力がその相談に乗るなんて、どう考えてもおかしな話なのです。

報道によれば、法案に見直し規定を盛り込むことで、野党側の理解を得よういうことらしいですが、法案を立案する段階で想定していなかった人権侵犯事例が出てくることもあり得ますから、そんなことあたりまえの話なのです。しかし、見直し規定を盛り込んだからといって一度法務省の所管にしたものを所管替えするなどそうそう簡単にできる話ではないのです。

民主党も人権委員会を内閣府外局とするよう主張してきましたが、意味のない見直し規定で妥協し、あとは付帯決議でお茶を濁すなどということのないようお願いしたいものです。一刻も早く人権委員会を立ち上げるべきだという意見もあるでしょうが、現状のままでは廃案に追い込むべきです。

下手にこんな法案通してしまうと、人権擁護行政のあり方について国民がチェックすることすらできなくなり、政府=法務省のさじ加減で人権がもてあそばれてしまうことになりかねないからです。

 

あまり指摘されていませんが、人権擁護法案では、「何人も人種差別*1共通の属性を有する不特定多数の者に対して当該属性を理由として不当な差別的取扱いをすることを助長又は誘発する目的で当該属性を有することを容易に識別することを可能とする情報を文書の頒布、掲示その他これらに類する方法で公然と摘示する行為」が禁止され、救済手続の開始によって人権委員会は被害の救済又は予防を図るため適当な措置を講ずることになります。

「文書の頒布、掲示」には、インターネットのサイトや電子掲示板の情報にも適用されますので、差別的情報を掲載すると規制を受ける可能性があります。

ちなみに人権擁護法案で定義され「人種等」は「障害、疾病又は性的指向」を含みますので、たとえば「三国人東京都が追放するべき」とか「キチガイは氏ね」とか「ロリータ野郎は社会のゴミ」といった発言を掲示板に書くと人権擁護法案の救済措置により書いた人が法律上の手続きに基いて聴取を受ける場合があります。

 

■衆議院

第一五四回閣第五六号 人権擁護法案(当初法案)

http://www.shugiin.go.jp/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g15405056.htm

第二条

5 この法律において「人種等」とは、人種、民族、信条、性別、社会的身分、門地、障害、疾病又は性的指向をいう。

第三条 何人も、他人に対し、次に掲げる行為その他の人権侵害をしてはならない。

2 何人も、次に掲げる行為をしてはならない。

一 人種等の共通の属性を有する不特定多数の者に対して当該属性を理由として前項第一号に規定する不当な差別的取扱いをすることを助長し、又は誘発する目的で、当該不特定多数の者が当該属性を有することを容易に識別することを可能とする情報を文書の頒布、掲示その他これらに類する方法で公然と摘示する行為

二 人種等の共通の属性を有する不特定多数の者に対して当該属性を理由として前項第一号に規定する不当な差別的取扱いをする意思を広告、掲示その他これらに類する方法で公然と表示する行為

 

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*1:たとえば在日朝鮮人とか三国人など


 

疑うことをやめること。
それがもっとも真実から遠い行為だ。

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