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一票の格差―是正につながる判断を

ある人の投票の価値が、別の選挙区の人の5分の2だった。そんな不平等がうまれたのが昨年末の衆院選だ。国民の意思がゆがんだ形で国会に反映される異様な状態が続いている。[記事全文]

違法貸しルーム―住まいの貧困対策急げ

まさに「うなぎの寝床」だ。窓もなく、薄い間仕切りで区切られ、ベッドを置くのが精いっぱいの部屋がぎっしり並ぶ。そんな「違法貸しルーム」が市民団体の調べでは東京を中心に50[記事全文]

一票の格差―是正につながる判断を

 ある人の投票の価値が、別の選挙区の人の5分の2だった。

 そんな不平等がうまれたのが昨年末の衆院選だ。国民の意思がゆがんだ形で国会に反映される異様な状態が続いている。

 その一票の格差をめぐり、最高裁がきのう弁論を開いた。来月にも判決が出る見通しだ。

 すでに出た16件の高裁判決の多くは、憲法が求める投票価値の平等に照らして違憲だと判断した。選挙の無効を命じた判決もある。

 問題は、議席をまず都道府県に一つずつ割り振ってから人口比例で配分する「1人別枠方式」にある。最高裁は11年3月、09年の衆院選について、この方式が一票の格差をうむ主な要因だとし、国会にすみやかな廃止を求めた。

 それから1年9カ月、国会は警告に応じず、昨年の衆院選は同じ方式で行われた。今回、違憲が確定すれば小選挙区制導入以来、初めてとなる。重大な国会の不作為である。

 司法は違憲審査に慎重に臨んできた。国民の代表である国会を尊重するがゆえだ。今回はそもそも国会に民意がきちんと反映されていない疑いがもたれ、国会と国民の利益に対立がある。司法が踏み込んで厳しく審査するしかない。

 大切なのは、司法が違憲と判断するような状態の是正にいかに結びつけるかである。

 昨年11月の法改正で「1人別枠方式」は法律の条文からは消えたが、議席配分にあたって実質的には温存された。今年6月に成立した新区割り法による「0増5減」は、最高裁が求めた根本的な是正とは本質的に異なり、微修正にすぎない。

 ところが政府・自民党は「0増5減」で違憲状態は解消ずみだとしている。最高裁が違憲判断を出しても、国会が無視してしまう可能性もある。

 最高裁は中選挙区制時代の76年と85年、衆院選の一票の格差に違憲判決を出した。いずれも選挙を無効とすることに伴う混乱を避け、無効までは宣言しない「事情判決」だった。

 議員の多くは、たとえ自分が選ばれた選挙の正統性が否定されても、議員の身分を奪われることはないとたかをくくっているのかもしれない。しかし、85年の判決は補足意見で、一定の期間後に選挙を無効にする可能性にも言及した。

 国会は厳しい判断が示されることを前提に、ただちに抜本改革に取り組むべきだ。

 違憲とされても立法府が動かないのでは、違憲審査の存在意義はなくなってしまう。

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違法貸しルーム―住まいの貧困対策急げ

 まさに「うなぎの寝床」だ。窓もなく、薄い間仕切りで区切られ、ベッドを置くのが精いっぱいの部屋がぎっしり並ぶ。

 そんな「違法貸しルーム」が市民団体の調べでは東京を中心に500物件近くあり、数千人が暮らすとみられる。

 不健康なうえ防災面の危険もあり、国土交通省が自治体を通じて指導に乗り出した。悪質業者は取り締まるべきだが、ただ閉鎖させるだけでは路頭に迷う人が出かねない。住まいの受け皿確保を同時に進めるべきだ。

 市民団体によると、住む人の8割方は20〜30代。非正規雇用で給料の安い単身の若者が多いとみられる。月5万円前後の低家賃にひかれ、危険に目をつぶり入居する。ネットカフェや終夜営業店を転々とする人々がいることと相通じる問題だ。

 違法ルームに払う金があれば郊外にアパートを借りられる。選択の問題だ。そんな見方が国や自治体の担当者の間にある。

 ただ、アパートを借りたくても保証人になってくれる人がいない。敷金礼金が高くて用意できない。勤め先で交通費が支給されず、都心に住むしかない。市民団体の調査に対し、そうした事情を訴えた住人もいる。

 働いているのに収入が低く、まともな住まいに暮らせない。本来そういう人たちを支えるべきなのは住宅政策だが、十分に機能しているとは言いがたい。

 公営住宅は倍率が平均8倍もあって、なかなか入れない。そもそも単身者向けの住戸は乏しい。自治体は財政難で、公営住宅を減らす方向にある。

 一方で、いまや3人に1人が非正規で働いている。これも労働市場の規制緩和という政策の結果だ。国は住まいの貧困対策に力を入れるべきである。

 島根県の社会福祉協議会は、保証人をたてられない生活困窮者むけに、低料金で保証人がわりになる事業をしている。

 東京都は職探しを支援しつつ民間から借り上げたアパートを3カ月間、1日500円で提供している。敷金礼金を無利子で貸す制度もある。ただし対象は東京に半年以上くらし、原則いま住居がない人に限られる。

 これらを参考にもう少し間口を広げ、違法貸しルームからの退去支援策を考えてはどうか。

 住まいのない人がいる一方、住宅の13%は空き家になっている。古びて借り手のない貸家の耐震改修費や家賃を補助し、みなし公営住宅として使う。そんな発想も検討に値しよう。

 働いて自立する意思のある若者を支えられずに、どうして社会の活力が取り戻せるだろう。

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