【広州=桑原健】言論統制が厳格な中国で再び地方メディアによる反発が表面化した。広東省の地方紙「新快報」が23日付で、隣接する湖南省の公安当局に拘束された同紙記者の釈放を要求する記事を掲載した。中国では1月に広東省の南方週末の改ざん問題がメディアへの弾圧の批判を浴びたばかり。発足1年を迎える習近平政権は難しい対応を迫られる。
広東省の新聞、新快報が23日付の朝刊1面トップで報じた記事は異例の内容だった。「請放人(釈放して…)」――。同紙の陳永洲記者を連行した湖南省長沙市の当局にこう訴えた。
新快報は羊城晩報報業集団が発行する113万部のタブロイド紙。生活に密着した都市・消費情報が中心で、調査報道も得意とする。
中国共産党がすべての権限を握り、当局の指示に従って紙面を編集する中国メディアがあからさまに抗議を表明するのは極めて異例。広東省の週刊紙「南方週末」の編集者らが当局による記事改ざんに抵抗したのに続く抗議活動といえる。
問題の発端は、陳記者が報道した長沙市に本社を置く建機大手、中聯重科(湖南省)の売上高の水増し疑惑。長沙市公安局は18日に同記者を拘束。22日になって「企業の信用を傷つけた疑いがある」と理由を説明した。地元政府と関係の深い国有企業である中聯重科の意向を受けて、地元当局が記者を拘束したとの見方が強まった。
新快報では8月にも、中央政府高官の汚職疑惑をブログで告発した記者が北京市公安局に連行されており、言論統制への不満が高まっていた。同紙のほかにも、山東省で強制立ち退き問題を取材したニュースサイト「財新網」の記者も地元当局に拘束された。
南方週末の事件に絡んで、発行主体である南方報業伝媒集団の経営陣は当局出身者で固められた。編集現場には「報道禁止事項の通達が月に50通は届く」(集団関係者)。締め付けは知識人らにも及んでおり、北京大学は改革派の経済学者である夏業良教授の解雇を決めた。
中国では習政権が腐敗摘発を掲げたにもかかわらず、汚職や不正に歯止めがかからない。これまでは腐敗報道を統制してきたが、世論を抑えきれなくなっている。
新快報には大学教授や弁護士らの知識人が支持を表明しており、今後さらに国際的な関心を集める可能性もある。中国共産党の重要政策を決める第18期中央委員会第3回全体会議(3中全会)を11月にひかえ、習政権は新たな難問を抱えた。
習近平、陳永、中国、中聯重科
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