日銀は23日、金融システムの現状を分析した「金融システムリポート」を公表した。金利が全ての年限で1%上昇した場合の影響について、大手銀行と地方銀行をあわせた国内銀行全体で保有している債券の時価損失が6兆円になると試算した。
試算は6月末時点。日銀が量的・質的金融緩和の一環として実施している国債の買い入れオペ(公開市場操作)に応じる金融機関が増えたため、3月末の6兆9000億円からは減少した。
内訳をみると、大手行は2兆9000億円と3月末から8000億円減少。地銀はほぼ同水準の3兆2000億円になるとみている。短期金利の上昇幅よりも長期金利の上昇が大きい「スティープ化」した場合については、大手行と地銀ともに損失額は少なくなる。
債券保有額の減少に伴って、預貸金なども含めた金融機関の金利リスク量は10兆円になる見込み。3月末からは6000億円少なくなり、減少額は13年ぶりの大きさになるという。
日銀はリポートで金融システムの現状に関して「全体として安定性を維持している」とまとめた。金融機関の間では収益を構築するために過度なリスクをとる動きはみられていないほか、4月の量的・質的緩和導入後に高まった金融・資本市場のボラティリティー(変動率)も低下。2008年のリーマン・ショック後の景気後退を想定したストレステスト(耐性評価)でも多くの金融機関が高い自己資本規制比率を維持できるとみているためだ。
金融仲介機能については、4月のリポートと比べて「より円滑に行われるようになっている」と指摘。金融機関の国内外向けの貸出残高が増えているほか、企業や家計を取り巻く金融環境も「緩和的になっている」とみている。
量的・質的緩和の効果として、日銀が重視している「ポートフォリオ・リバランス効果」を巡っては、大手行を中心に債券から貸し出しへの移行が進んでいるとみる一方で、生命保険会社などの機関投資家は「資金運用動向に大きな変化はみられていない」と分析した。〔日経QUICKニュース(NQN)〕
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