機密を漏らした公務員らへの罰則強化を盛り込んだ特定秘密保護法案の原案が政府から自民党に提示された。原案には国民の知る権利の保護が明文化されていない。報道の自由についても「十分に配慮する」と記したが、努力義務にとどまっており、この法律が成立すれば、間違いなく国家の情報統制が強化されるだろう。
政府は日本版「国家安全保障会議(NSC)」創設法案と一緒に成立を目指している。特定秘密保護法案の成立を急ぐのは、外国政府と安全保障に関する情報共有を深めてNSCを機能させようとするためだ。
防衛、外交、特定有害活動防止、テロ活動防止の事項のうち、特に秘匿が必要な情報を「特定秘密」に指定し、漏えいに罰則を科す。しかし「特定秘密」の定義は「わが国の安全保障に著しい支障を与える恐れがあるため、特に秘匿が必要な情報」とするが、極めて曖昧だ。政府が拡大解釈して「特定秘密」の対象を無限に広げる危険性をはらんでいる。
政権の内情や政策決定過程の透明性を高めることこそ、民主主義の成熟の度合いを示せるはずだ。日本の情報公開は十分といえるのか。政府は2011年に「国民の知る権利」を明記した情報公開法改正案を国会に提出した。しかし継続審議となり、昨年の衆院解散で廃案となった。情報公開の拡充が置き去りにされ、秘密保護だけが先行する国家はいびつだ。
そもそもこの法律は必要なのか。すでに国家公務員法には守秘義務規定がある。11年には自衛隊法が改正され、秘密漏えいの罰則が強化された。07年には軍事秘密の保全規則を定めた日米軍事情報包括保護協定が発効している。現状の法体系で対応できないはずはない。
米国では内部告発サイトに情報を流したとして陸軍上等兵がスパイ活動取締法違反で禁錮35年の判決を受け、フランスでは情報機関の極秘資料を報道した新聞記者が拘束されている。日本がこうした制度を目指しているなら、極めて由々しき事態だ。その一方でスウェーデンは09年施行の法律で安全保障情報を除く情報については、公務員が報道機関に漏えいすることを認めている。
政府は原案発表翌日に「知る権利」の明文化検討を表明した。あまりに稚拙だ。国民の目をふさぐ危険な法案は無用であり、国会提出を見送るべきだ。
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