中国:公安当局へ記者釈放求め「請放人」 異例の1面記事
毎日新聞 2013年10月23日 20時55分(最終更新 10月23日 22時57分)
【上海・隅俊之】中国広東省の日刊紙、新快報は23日付の朝刊1面で、中国大手企業を批判する記事を書いた記者が公安当局に拘束されたのは不当だとして、記者の釈放を求める記事を掲載した。中国当局の管理下にある中国紙が、1面で大々的に要求を掲げるのは異例。中国版ツイッター「微博」では同紙を支持する書き込みが多く、メディア統制を強める習近平指導部の対応が注目される。
拘束された記者は昨年9月以降、大手建機メーカー「中聯重科(ちゅうれんじゅうか)」(湖南省長沙市)の経理上の不正疑惑などを複数回、報道した。同社は「虚偽報道だ」と主張して、長沙市公安当局に告訴。記者は会社の商業的な信用を傷つけた疑いで拘束された。
新快報は1面に「請放人(釈放してください)」と見出しを掲げた記事を掲載。「現地取材で証拠を集めて事実確認をしており、捏造(ねつぞう)ではない。罪には当たらない」とする専門家の意見も紹介し、拘束の不当性を訴えた。また声明で一連の記事には1カ所の記述ミス以外に誤りはないとしたうえで、「記者の正当な権利を断固として守る」とした。これに対し、長沙市公安当局は「会社への直接取材がなく、事実の捏造があると判断した」としている。
新快報は1998年創刊で調査報道など庶民向けの記事を主に掲載している。広東省広州市に拠点を置き、夕刊紙などを発行する「羊城晩報報業集団」に所属する。昨年7月には、習近平国家主席らが文化大革命の時代に下放先の農村で、どう過ごしたかを描いた記事をきっかけに編集長が異動させられた。