「自分が親しむことのできる表現の形式に出会うのは大切だ。著者にとって、それは、英語によって仏教の経典を読むというかたちで、不意に訪れた。」
歩きながら瞑想し、仏教徒のピストル所持を議論、
英訳されたお経の分かりやすさに感動する……。
アメリカ文化と英語を通して抱いた、素朴な疑問と新鮮な驚きをもとに、
自由でシンプルな仏教の本質に迫る、
アメリカで仏教の面白さを知った著者・室謙二さんによる、
ユニークな仏教入門書です。
定価:798円(税込) 新書判 208ページ
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■目次
まえがき
その1 英語でお経を唱える
1 SHIKI SOKU ZE KUと言われても
お葬式の仏教から愉快な仏教へ/ない、ないということもない/ちょっと奇妙な環境ではあるが/そしてボディサットバは、涅槃に住む
2 アヴァローキテーシュバァラとは誰のことだ
観音菩薩は女であるか男であるか/野獣ははてしなきかなたまで逃げ去る/アメリカにも Kanon はいる/極楽にセックスはあるか
3 座禅の仕方をひとつに決めるのは差別である
座禅なんて気恥かしい/不思議な体験と無意味/ジャンプしながら瞑想する高度な方法/完全な平等は、一定の姿勢を要求しない/私はスインギング・ドアである
4 暴力と仏教とアメリカ
ある四月の夜のこと/そのピストルはどこから来たか/なんのために座禅をしているのか?/アメリカの暴力の中の仏教の非暴力/女の禅と男の禅/社会構造の中の禅/学生の可能性
5 ビートが仏教を発見する
お遍路さんの寺で書きはじめた/ニッポンかぶれの物語/ダルマふうてん革命/キリストは弥勒菩薩/空である。これをどう説明するか
6 たった三日の無言の行
仏教ワークショップから帰ってきて/これはどうやら仏教だ/座ったり歩いたり、法話を聞いたり働いたり/仏像とお経とアジアがない/儀式のない仏教は可能か?
7 ユダヤの神さんも如来のひとり
たったひとりの神さんがいるらしい/縁起は英語の方が分かりやすい/入り組んでいて簡単ではないよ/ブディッシュとは何か?
8 東京からグリーン・ガルチまでの旅
ベトナム戦争のとき東京で/ぼくはあまり期待していなかった/伝統からそれは生まれた/政治と戦争/ああ、ベヘーレンか
9 英語で空を考える
つまらない英語の仏教/空だって、冗談でしょ/一枚の紙が空であり宇宙がある/違うスタイルで語られる仏教
10 Dogen を読む
龍樹はやさしい/誤解などかまわない/Thought と Mind/万法すすみて自己を修証するはさとりなり
11 ラスベガスの菩薩
悪徳の都ラスベガス/ラスベガスとボストンの宗教的情熱/教えの相対化の相対化/菩薩の境地
12 仏教が広がっていく
英語のお経に感動した/平和運動と仏教の間/真如は Suchness である/
仏教がアジアから広がっていく
その2 日本語で仏教を読む──維摩経と観無量寿経
フリーランスの読み方
1 維摩経を読む
天女は空中で完全な平等をうたう/食は悟りへの道である/菩薩の活動
2 観無量寿経を読む
浄土の風景/全部を語ることはできない/法然のナムアミダブツ/男と女が一緒になったあとの念仏は/おまえの意識がブッダである
3 ブッダの公式と姿勢
八正道をやろうとしても難しい/座るという方法
その3 感動して聞ける日本語仏典を──経典の翻訳運動
これは本当に日本語か?/漢文にたよっていていいのだろうか/聖書はどのように翻訳されたか/文化運動としての翻訳/感動して聞ける日本語仏典を
一〇冊の本
『四つの四重奏』 T・S・エリオット/『東洋的瞑想の心理学』 C・G・ユング/『禅マインド ビギナーズ・マインド』 鈴木俊隆/『ティク・ナット・ハンの般若心経』 ティク・ナット・ハン/『梵漢和対照・現代語訳 維摩経』 植木雅俊訳/『大仏破壊 バーミアン遺跡はなぜ破壊されたのか』 高木徹『日本ファシズム下の宗教』 市川白弦/『生きる者の記録 佐藤健』 佐藤健と取材班/『土を喰う日々──わが精進十二ヵ月』 水上勉/『釈尊──その行動と思想』 宮坂宥勝
あとがき
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■著者紹介
室謙二 (むろ・けんじ)
1946年東京生まれ。大学在籍中から、ベトナム戦争への反対運動に参加。同時にフリーランスの書き手・編集者として活動。雑誌『思想の科学』編集代表などを務めたあと、80年代後半からアメリカに住み、市民権を取得。旅行記、政治論、文学批評、伝記などのほか、コンピューター、出版、音楽、料理など幅広いテーマを論じる。主な著書に『天皇とマッカーサーのどちらが偉い?』『非アメリカを生きる』(以上、岩波書店)、『旅行のしかた──内側からタマゴを割る』『アジア人の自画像』『踊る地平線──めりけんじゃっぷ長谷川海太郎伝』(以上、晶文社)などがある。
『アメリカで仏教を学ぶ』
室謙二 著 定価:798円(税込) 新書判 208ページ
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