国税局元調査官:収賄総額は百数十万円 23日に起訴
毎日新聞 2013年10月23日 03時30分
大阪国税局の調査官の脱税工作を巡る贈収賄事件で、西税務署の元上席国税調査官、平良(たいら)辰夫容疑者(43)=休職=が受け取った賄賂の総額は百数十万円に上るとみられることが捜査関係者への取材で分かった。大阪地検特捜部は勾留期限の23日、平良容疑者を加重収賄罪、国税局OBの元税理士、細名高司容疑者(61)を贈賄罪で起訴し、一連の捜査を終えるとみられる。
◇飲食接待などは立件せず
捜査関係者によると、平良容疑者は細名容疑者から飲食接待を受けたり、商品券をもらった疑いがあるが、脱税工作との関連が明確ではなく、立件の対象にはしないという。
特捜部は今月4日、大阪市のホストクラブ運営会社「M」の脱税工作に協力した見返りに、細名容疑者から2011年9月10日ごろ現金約100万円を受け取ったとして、平良容疑者を加重収賄の疑いで再逮捕していた。
Mの税務調査を担当していた平良容疑者は11年7月、細名容疑者の顧客だったMに対する、抜き打ちの税務調査の日時を漏えい。脱税を隠すため、Mの経営者に実際より少額の申告漏れをあえて申告させるよう仕向けたとされる。
特捜部は、平良容疑者が受け取った細名容疑者からの現金百数十万円は、こうした一連の脱税工作への謝礼だったとみている。
平良容疑者は10年7月、京都市内の税務署から西税務署に異動し、Mは同年12月、西税務署管内の大阪市西区に本店を移した。平良容疑者が脱税工作に関与できるよう、細名容疑者の指示で移転したとみられる。
複数の職員関与の疑惑…解明困難
捜査の過程では、細名容疑者側への情報漏えいなどに、平良容疑者とは別の複数の国税職員が関与した疑いも浮上した。ただ、職員の特定、漏えいの趣旨や経緯、金銭授受の有無の解明などは難しく、特捜部は今のところ他の職員の立件は見送る方針とみられる。
捜査関係者によると、細名容疑者の関係先からは、複数の企業の申告や納税に関する情報、無申告の会社に対する国税局の調査資料などが見つかった。平良容疑者と関係のない職場で管理されていたとみられる資料や情報も含まれていた。
特捜部が押収した細名容疑者の携帯電話は、複数の国税職員とみられる人物の連絡先が消去されていた。細名容疑者が捜査の広がりを警戒し、隠そうとした疑いもあるという。