楽天がクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージを突破して一夜明けた22日、チームは休養日だったが、エース・田中将大投手(24)は休日返上でKスタ宮城に現れ、調整した。26日開幕の日本シリーズでも第1戦の先発が濃厚だが「救援の準備もしておく」とフル回転を誓った。
ナイターで最後を締めくくった勝利に酔いしれた翌日でも、エースはゆっくり休んではいなかった。CSファイナルステージ第3戦で完封勝利を挙げた美馬とともに、午前10時にはグラウンドに登場し、入念なウオームアップやキャッチボールなど約1時間15分、汗を流した。
ノーステップで約100メートルの遠投をみせるなど、疲れを感じさせない様子で「体の張りは特にない。(CSだからといって)特にいつもと違いはない。休んでも良かったけど、体を動かしておきたかった」と笑顔をみせた。
CSでは第1戦で120球投げて完封し、日本シリーズ出場を決めた第4戦では、中3日で抑えとして1イニング、16球を投げた。さらに中4日で26日の日本シリーズ開幕戦に先発することが濃厚な上に、7試合制だから2度は先発できる。
レギュラーシーズンでも、優勝を決めた試合は胴上げ投手となった。先発で8イニング投げてから中4日でブルペン待機し、抑えを託された。先発・抑えでのスクランブル登板は、星野仙一監督(66)が寄せる全幅の信頼の証しだが、守護神・ラズナーが右肘手術のため抜け、救援陣が弱いチーム事情によるものでもある。
田中は「日本シリーズでも(先発・抑えの)可能性はもちろんある。状況を考えて、準備はしておかないと」とフル回転で投げる覚悟を語った。
初の舞台となる日本シリーズ。昔から時間があればテレビで見ていたという。「憧れではない。日本一を目指すところ」と言い切る。日本シリーズでの鉄腕といえば、西鉄が巨人に3連敗後4連勝して日本一になった1958年の稲尾和久が伝説となっている。7戦中5連投を含む6試合に登板して「神様、仏様、稲尾様」とあがめられた。
野村克也元監督に「神の子」と呼ばれた田中も、初の日本一をつかみ取るため、稲尾ばりの鉄腕ぶりを発揮する。
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