ガールズ&パンツァー それゆけトラさんチーム (エウクランテ)

プロローグ

この日、私こと西住(にしずみ) 夏帆(かほ)は茨城県の大洗市郊外で匍匐になりながら双眼鏡で遠くを走る戦車の隊列を眺めていた。いや、ストーキングとかじゃ無いデスヨ?
そう、これは『戦車道』の授業の一環。今日はここ大洗女子学園で戦車道部が復活して始めての練習試合が催されていました。

「さすが聖グロリアーナです、綺麗な隊列を組んでますね!」

と私の左横で興奮した声を挙げるのは同チームの秋山(あきやま) 優花里(ゆかり)さん。私の尊敬する方の一人であり、この大洗女子学園が第63回日本戦車道全国大会で優勝するのに多大な貢献を尽くした方でもある。

「ううん、あれだけ速度を合わせて隊列を乱さないで動けるなんてすごい」

と同じく匍匐状態で双眼鏡を除きながら秋山さんのさらに左隣の少女が本当に感服したように返す。
彼女は西住《にしずみ》 みほさん。この大洗女子学園の戦車道部のリーダーであり、復活したばかりの弱小チームをまとめ上げて優勝にまで導いた凄い人だったりする。
あ、あと私と苗字が同じなのは偶然じゃなくて・・・・この話は長くなるから後でにしておこう。

「内容はチャーチル1両とマチルダ4両、さらにクルセイダーが3両と・・・・あれはトータス重駆逐戦車です!」
「夏帆殿詳しいですね、特にトータス重駆逐戦車なんかはレア中のレア戦車ですし!!」

そう言って目を輝かせる秋山さん。本当に嬉しそうで何よりです。

「それにこちらの徹甲弾では夏帆殿の戦車以外ではあの装甲を抜けませんね、西住殿」
「「そこは戦術と腕かな?」」
「はい!・・・・って、え?」

しまった!?無意識に返しちゃった上におk・・・・みほさんとセリフまで被らせてしまった。
しかも秋山さんも不思議そうにこっちを見てるし!!

「あ、いや、えーっと。ほら、西住さんって黒森峰時代も言ってたじゃないですか!!ちょっと真似してみようかなーなんて・・・・」
「なるほど、夏帆殿もかなりの戦車道ファンだったのですね!!分かります、その気持ち!!」

誤魔化せた・・・・のかな?
未だにみほさんは目を丸くしてこっちを見ているけど・・・・。

「ほら!敵の戦力も分かりましたし、さっそく作戦を実行に移しましょう!!戦車達が待ってますよ!!」

そう言ってかなり強引だけど私は言い終わると同時に走り出して自分の戦車に戻る。
ヤバイヤバイ、私達の『秘密』がバレるとこだった・・・・。
そんな心臓にかなり悪い状況から脱出した私はみほさん達『あんこうチーム』のⅣ号戦車の隣に停まっている戦車へと乗り込む。
コイツの名前は『E-50 M型(Ausf.M)中戦車』。秋山さん並みに戦車に詳しい人なら分かるだろうけど、この戦車は型式番号の通り『試作実験車』である。おおよその外見はケーニヒスティーガー(ティーガーⅡ)に似ているけど、一回り小さい上に時速60kmで走り回ってケーニヒスティーガーよりも強力な10.5cm52口径砲(直径が10.5cmで、砲の長さが10.5cm×52=5m46cmを表します)で敵戦車を屠る化物ちゃんです。終戦間際の試作車なのでレギュレーションギリギリの戦車ですが、一応OKな代物です。

「あ、危なかったー」
「どうかしました?カホ?」

キューポラから中に入るなり、待機していたクルーの一人がコーラを飲みながら声を掛けてくる。
栗色の髪をポニーテールに纏めた髪型とソバカスが特徴の彼女は井上(いのうえ) カリサちゃん。この戦車の装填手兼副車長である。

「いやー、さっそくボロがでちゃってさ。バレかけた」
「ガホッ!!ゴヒッ!!・・・・さらりと何仕出かしているんですか!?」

飲んでいたコーラを吹き出すカリサ。

「いや、バレかけただから!多分まだセーフな筈!!」
「心臓に悪いのでやめて下さいっ!!」
「うぅ・・・・ごめんなさい」
「メンタル弱っ!?」

そして2人して少し深めの溜息を吐いた後に私は顔を2回軽く叩いて気持ちを切り替える。

「よし、これより戦闘行動に入ります。この時代(・・・・)での私達の初陣になります、各員の奮闘に期待します。相手はグロリアーナ、決して楽な相手ではありませんが頑張りましょう!!」
「「「「了解!!」」」」」

他のチームの人達に聞かれないように無線を切ってから激励を飛ばし、この戦車の乗員4名の返事を聞いた後に私は拳を握って気合の入った声で指示を出す。

虎さん(ティーゲル)チーム、パンツァー・フォー!!」



目次 ページの一番上に飛ぶ


※この小説はログインせずに感想を書き込むことが可能です。ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら

感想を書く ※感想一覧
内容※10~5000字

※以下の内容は禁止事項です。違反するとアカウント凍結等の対応を行います。
・他の感想への言及・横レス(作者以外の発言に対して言及すること)
・作者を攻撃している(人格否定等)
・規約に違反していない作品への削除や修正、設定改変の強要

・感想欄でのアンケートの解答行為(作者が感想欄での解答を要求していた場合情報提供から通報して下さい。)


評価をする
一言(任意、100文字まで) 0文字
投票
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10を入力する場合は一言の入力が必須です。
※評価値0,10はそれぞれ最大10個までしか付けられません。
※警告タグを評価基準に含める事は×