イタリア発祥のクラシックカーラリーが今年も10月18日より4日間の日程で開催された。3年ぶりに『ラ フェスタ ミッレミリア』の名称が復活した今大会には、1923〜68年に製造された希少な名車94台が集結。途中、悪天候に見舞われながらも、ドラマティックなレースを繰り広げた。
イタリア北部の都市、ブレシアを出発してフェレーラ、サンマリノ共和国を巡り、ローマからブレシアへと至る1000マイルを走破する自動車レース『ミッレミリア』。1927年に始まった伝説の公道自動車レースは、幾度か中断を余儀なくされながらも、多くのファンの支持に後押しされ、77年にクラシックカーラリーとして復活を果たした。
97年には日本でも、国際クラシックカー連盟の公認を受け<東京原宿明治神宮〜福島県裏磐梯〜栃木県ツインリンクもてぎ〜東京原宿明治神宮>を走破するクラシックカーラリー『ラ フェスタ ミッレミリア』が誕生。85年の伝統を受け継ぐ、国内最大規模のクラシックカーレースとして“ミッレミリア”の名は広く知られることとなる。
15周年を迎えた2011年には、東日本大震災の影響により、ルートを<東京原宿明治神宮〜長野県軽井沢〜神奈川県箱根〜東京明治神宮>に変えて開催。以降、名称も『ラ フェスタ アウトゥーノ(秋祭り)』に変更されていたが、今年は3年ぶりに『ラ フェスタ ミッレミリア』の名が復活。再出発を祝うように10月18日の初日には、スタート地点の明治神宮に朝早くから大勢の観客が集結。スタートセレモニーの正午が迫るにつれ、沿道は人で埋め尽くされた。
今年、エントリーしたのは94台。事前に4台がリタイアとなったが、都心を彩る深い森を背景に、歴史に名を刻むクラシックカーがずらりと並ぶ画は実に壮観だ。アルファロメオ、ブガッティ、メルセデス・ベンツ、ジャガー、ベントレー、ポルシェ、フェラーリ……。芸術品のような名車が次々とゲートを通過し、観客は一斉にカメラを向ける。
出場者は4日間をかけて1都7県の市街地や山道、名所を巡る。2日目からは悪天候で故障が相次ぐ中、最終日の21日は1200kmの道程を走破した出場車を労うように暖かな陽気に。日が傾き始めた16時過ぎには、ゴール地点に完走した出場車が続々と明治神宮に姿を表し始める。
レースは、設定された時間内にいかに正確に走行し、スタンプポイントをクリアできるかを競うスタンプラリー形式。完走を祝うセレモニーが行われるも、レースの結果は翌22日に行われる表彰式まで持ち越しとなった。
優勝に輝いたのは1925年式BUGATTI T22/T13の竹元京人さん・淳子さんペア。4日間トップの座を守りきる圧倒的な強さで、3連覇を成し遂げた。準優勝に1930年式ASTON MARTIN INTERNATIONAL SERIES1の横田正弘さん・明美さんペア。続いて、1935年製FIAT 5085の出川勇人・久住寿人ペアがランクインし、史上最も過酷といわれたレースで価値ある入賞を手にした。
(文 宇田川有佳)