伊豆大島:14世紀の溶岩流と一致…土石流の発生場所
毎日新聞 2013年10月21日 15時00分(最終更新 10月21日 15時29分)
東京都大島町(伊豆大島)を襲った台風26号による土石流が、14世紀に起きた噴火で流れ込んだ溶岩流に沿う形で流出していたことが分かった。水を通しにくい溶岩層の上に積もった火山灰層が、豪雨の水圧によって「表層崩壊」を起こしたとみられ、専門家は「もともと大規模な土石流が起きる可能性があった」と指摘する。
国土地理院は被災地の空中写真を基に、今回土石流が発生した地域と、過去の噴火に伴い溶岩流が流れた場所を比べた。すると土石流の発生場所が、1338年前後に噴火した際の溶岩流の域内にほぼ収まっていることが分かった。
中央大の国生剛治教授(地盤災害工学)によると、現場は硬い岩盤状の溶岩層の上に砂状の火山灰が降り積もった構造。「かつてない豪雨が溶岩層と表層の境目に入り込み、水圧で表層が一気に不安定になり、崩壊が起きた」と語る。
森林総合研究所の落合博貴企画部長(治山工学)は「大規模な土石流の条件は、豪雨の前からできあがっていた」と指摘する。溶岩流によって、もともと起伏の少ない地形になっていたとみられ「森林が溶岩層の上に乗った地面の流出を抑えていたが、豪雨により浮力の方が勝り、溶岩層に沿って崩れた。火山灰が含まれた土砂はいったん流れ出すとスピードが速く、規模拡大に拍車をかけた」と話す。
伊豆大島は多くの噴火を繰り返してきた。1777(安永6)年の「安永の噴火」や、全島民が島外に避難した1986年の噴火などがある。【石川淳一、黒田阿紗子】