クローズアップ2013:衆院予算委質疑 首相、攻守使い分け
毎日新聞 2013年10月22日 東京朝刊
臨時国会で与野党の本格的な論戦が始まった。安倍晋三首相と全閣僚が出席した21日の衆院予算委員会で、首相は「強い経済を取り戻す」と、安倍政権が進める経済政策「アベノミクス」に自信を表明。エネルギー政策では小泉純一郎元首相が唱える「脱原発」を真っ向から否定した。環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉と合わせ、今国会の焦点となっている三つの論点の攻防を探った。(5面に質疑詳報)
◆経済対策
◇「成果」たてに自信
石破茂氏(自民党)「衆参の選挙に勝ち、3年間は大きな選挙がないということがあり得る状況だ。どのように政策をやっていくのか」
首相「デフレから脱却して強い経済を取り戻さなければならない。家計を潤していくためにも、賃金を増大し、雇用を拡大していく必要がある。優先順位は極めて明確だ」
政府は、この国会を「成長戦略実行国会」と位置付ける。自民党幹事長の石破氏と質疑で息を合わせ、首相がアピールしたのは、消費税率8%への引き上げとともに表明した5兆円規模の経済対策だった。
首相は、「戦後レジームからの脱却」をスローガンに、国民投票法の制定など保守色の強い政策の実現に力を入れた第1次政権(2006〜07年)が1年で頓挫したことを「参院選で惨敗した。国民のニーズとマッチしていなかった」と総括。国政選挙に振り回されずにすむ「黄金の3年間」(石破氏)に、景気対策に最優先で取り組む姿勢を訴えた。
首相がとりわけ力を込めて説明したのが1997年、消費税率を3%から5%に引き上げた橋本龍太郎内閣との違いだった。石破氏が「橋本内閣で税率を引き上げて経済が悪くなった。その時と何が違うのか」とただすと、首相は、金融システムが安定した▽企業の財務体質も相当強化された−−と強調。税率引き上げによる景気の腰折れを警戒する首相は「二度と同じ道を進まないように一番気を配った」と力説した。
一方、民主党がアベノミクスの「弱点」と見て攻めたのは、その柱である大胆な金融緩和と、公共事業重視の財政出動の持続性や将来世代への負担問題だった。首相は趣味のゴルフにたとえて、こう反論した。
「結果が出ているんですよ。ゴルフで言えば、バンカーに入ってしまったんです。先に崖があるんじゃないかと心配してパットで打ったって(バンカーから)出ない。で、我々はサンドウエッジを持った。そして、ボールはグリーンに乗ろうとしているわけです」
民主党政権時代の3年間「デフレから脱却できなかった」と逆手に取り、答弁に余裕をのぞかせた。
◆原発