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【社会】

明治に人権尊重「五日市憲法」 皇后さま強く感銘

 皇后さまは二十日、七十九歳の誕生日を迎えられた。宮内記者会の質問に寄せた回答文書で、明治憲法の施行に先立って東京・奥多摩地方で起草され、基本的人権尊重や教育の自由などに触れた「五日市憲法草案」について、「世界でも珍しい文化遺産ではないかと思います」と強い感銘を受けたことを明らかにした。

 皇后さまは昨年一月、天皇陛下と東京都あきる野市の五日市郷土館を訪れ、展示されている草案を視察した。

 文書では、今年印象に残ったこととして憲法論議が盛んに行われたことを挙げ、これに関連して、視察時に草案から受けた印象を思い起こしたとしている。

 草案は、小学校の教員や農民たちが話し合いを重ねて書き上げた。皇后さまはこうした経緯に触れるとともに、同様の民間の憲法草案が日本各地で作られていたと郷土館で説明を受けて「長い鎖国を経た十九世紀末の日本で、市井の人々の間に既に育っていた民権意識を記録するもの」と印象に残ったと記している。

 五日市憲法草案 東京・奥多摩地方の五日市町(現あきる野市)で1881(明治14)年に起草された民間憲法草案。204条から成り、基本的人権が詳細に記されているのが特徴。自由権、平等権、教育権などのほか、地方自治や政治犯の死刑禁止を規定。君主制を採用する一方で「民撰(みんせん)議院ハ行政官ヨリ出セル起議ヲ討論シ又国帝(天皇)ノ起議ヲ改竄(かいざん)スルノ権ヲ有ス」と国会の天皇に対する優越を定めている。1968年、色川大吉東京経済大教授(当時)のグループが旧家の土蔵から発見した。

 

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