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【社会】

伊豆大島警戒情報 気象庁現地職員知らず 発令前帰宅

 台風26号に伴う大規模な土砂崩れで大きな被害が出た伊豆大島(東京都大島町)で、町役場に常駐している気象庁の現地事務所の所長と職員が、同庁と都が十五日夕に発令した「土砂災害警戒情報」を約九時間後まで知らなかったことが、同事務所への取材で分かった。所長らが発令前に一時帰宅したためで、住民の避難につながる重要な情報を、現地の出先機関に伝えなかった気象庁の不手際が浮かび上がった。 (安藤恭子)

 土砂災害警戒情報をめぐっては、町役場の幹部や防災担当者らも一時帰宅し、情報を知らせるファクスに約六時間気付かなかったことが既に判明。またファクスを送った都が、町が情報を認知したかどうかを電話などで確認していなかったことも明らかになっている。人命を預かる行政の甘い対応が、次々に露呈している。

 大島町の役場内にあるのは、気象庁伊豆大島火山防災連絡事務所。活火山である伊豆大島火山の観測や、火山活動についての行政などへの情報提供、地震計や監視カメラの保守点検が主な任務。所長と職員の計二人態勢。大雨の監視など気象防災全般を常時、担ってきた大島測候所は四年前に廃止された。

 連絡事務所によると、所長らは台風の接近した十五日午後、風雨のピークが近づく翌日未明に出勤することを決め、午後五時半ごろに、いったん町役場から帰宅した。気象庁と都は、午後六時五分に土砂災害警戒情報を同町に発令したが、本庁などから所長の自宅や携帯電話などへ連絡はなかった。

 所長と職員は十六日午前三時前に町役場に出勤して初めて、警戒情報の発令を知った。既に猛烈な雨が降っており、町役場には住宅の倒壊や崖崩れの連絡が相次いでいた。所長らは、午前二時から非常配備態勢を敷いていた町幹部や防災担当者に降水量などの気象データを提供し、防災対策に加わった。

 加治屋秋実(あきみ)所長は取材に対し「本庁から発令情報が伝わるシステムになっていなかった。警戒情報は公開データなので、パソコンなどで調べれば分かったはずだが、それもしなかった。十六日未明まで把握していなかったことの是非は、一職員の立場では答えられない」と話している。

 

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