走・跳・投と動きが多様なうえ、各種目が同時進行する特性上、ウオーミングアップ場としてトラックを準備できなければ、混雑した状況を生み選手の安全を確保できない。
敷地の確保困難
だが、日本スポーツ振興センター(JSC)による「神宮外苑地区地区整備計画」にサブトラックの新設は盛り込まれていない。東京都の都市計画などにより、神宮外苑は公園の保全や建造物の規制が定められているため、十分な敷地が確保できないという事情がある。
JSCによると、新競技場の将来構想を話し合う有識者会議で「地下に造っては」との意見が出たが、地下鉄の状況や投擲(とうてき)競技での利用などを考えれば実現は不可能だ。
20年東京五輪では、聖徳記念絵画館前の野球場に仮設でトラックを造る。1964年東京五輪や91年東京世界陸上の際と同じ対応だ。ただ日本陸連関係者によると、トラックを仮設するのに3~4億円かかるとされ、「費用の面から高校総体などではとても造れない」。8万人収容に生まれ変わる新競技場は「サッカーの代表戦とコンサートでしか使えなくなる」との指摘もある。