ギリシャ:波紋呼ぶ金髪少女…誘拐罪でロマ男女起訴
毎日新聞 2013年10月22日 21時17分(最終更新 10月22日 21時43分)
【ローマ福島良典】欧州に暮らす少数民族ロマの男女が金髪の幼女を実子と偽って育てていた事件がギリシャで明るみに出て、内外に波紋を広げている。未成年者誘拐の罪で起訴された男女は21日、「子供の面倒を見られない母親から養子にもらった」と法廷で証言したが、当局は人身売買組織とのかかわりも調べているという。
ギリシャからの報道によると、幼女は推定5〜6歳の「マリア」ちゃん。警察当局が今月中旬、ギリシャ中部ファルサラのロマ居住地で薬物・銃器を捜索した際、黒髪と浅黒い肌が特徴的なロマと異なり、金髪で白い肌のマリアちゃんを発見。DNA鑑定でロマではないとの結果が出た。
39歳の男と40歳または41歳の女は当初、警察当局に対して「実子だ」と話していたが、その後、「ブルガリア人の実母が乳飲み子の面倒を見られなくなったというので、育てることにした」と主張を変えた。登録書類上、男女は計14人の子供を持っていることになっていた。
ギリシャ警察は実の両親を特定するため国際刑事警察機構(ICPO)を通じて欧州他国に支援を要請。首都アテネでマリアちゃんを保護している慈善団体によると、ギリシャ内外から電話で8000件以上の情報が寄せられているという。
一方、ギリシャに暮らすロマは事件で差別や偏見が強まる事態を懸念しているという。ファルサラのロマ代表は報道陣に「2人は実子よりもマリアちゃんに目をかけてきており、無罪だ」と主張、「盗みも子供の誘拐も全てロマのせいにされるが、私たちに対する侮辱だ」とロマ差別を指弾した。