2013年10月20日
小泉進次郎のブレーン
小泉純一郎さんの「原発ゼロ発言」がクローズアップされ、メディアが、その話題を追い掛ける。そうしたニュースに映像の次には、息子である小泉進次郎政務官が映し出される。
なんだか複雑ですかねぇ。小泉政権の頃、自称改革派の人たちは世襲制批判を展開しており、世襲議員であるというだけで落選させろという論調でしたよね。進次郎氏が立候補を表明、そんなの当選確実じゃないかっていうタイミングに於いては、テレビのバラエティ番組で名前を知られていた「ソーリ」というニックネームの候補者を応援すべきだという空気はインターネット上で起こっていた記憶がある。
「世襲議員は一網打尽にすべき」と言っていた人たちはダンマリとなり、ダンマリどころか、いつの間にか「さすが小泉さんところの息子は度胸が違う」と膝をポンと叩いて掌返しをして、現在ともなると、進次郎氏のグルーピーのようになっている。
「原発ゼロ」という発言についても、毎日新聞と朝日新聞が熱心に報じている。一時的に小泉支持であった読売新聞の迷走も凄くて、菅政権から野田政権へと靡いた部分は歴史的なドン引き現象だった気がしました。特に毎日新聞の社説についてですが、宮崎哲弥さんによると、「消費増税には賛成だ。しかし、新聞は軽減税率で守られるべきだ」という論説は実に七回以上であるという。このあたりもドン引き。
引き算による思考、彼等を信認するワケにはいかないだろうという、積極的な支持ではなく、消極的な支持を多分に含めて、きっと政党支持率などの数字があるのでしょう。安倍内閣の支持率の高さは安定的であるという意味になるのだと思いますが、よくよく回想してみると、小泉政権というものが構造改革を掲げるテレビ政治であったのが浮き彫りになって来る。
週刊文春10/10号には、「小泉進次郎政務官のブレーン名簿」なる小さな記事がありました。5月中旬、小泉事務所の狭い会議室で、十人ほどの人物が招かれた名刺交換会のようなものがあった、と。仕掛け人は、津田大介氏で、後見人になっていたのが田原総一朗氏。
そこに集まったメンバーについても少し名前が出ていました。作家の乙武洋匡氏、社会活動家の湯浅誠氏、社会学者の開沼博氏。その他のメンバーの名前は出ていませんが、若手論客や美人カメラマン、被災地支援のNPO代表らであったという。
その名刺交換会とは別の人脈づくりも始まっており、ベンチャー育成の第一人者でグロービス代表の堀義人氏らの呼び掛けた四十歳以下のリーダーらを集めた合宿に、進次郎氏は参加していたという。他のメンバーは、直木賞作家の朝井リョウ氏、昨今、テレビ出演も増えた社会学者の古市憲寿氏。
それと、もう一つ、やや不可解な食事会についても触れられている。鳩山政権で官房副長官を務めていた松井孝治氏が幹事をしていた都内レストランの食事会が昨年11月に行われており、そこにも進次郎氏が出席していた、と。食事会出席メンバーは、鳩山元総理の演出過多な所信表明演説を書いた劇作家の平田オリザ氏、コミュニケーションディレクターなるカタカナな肩書きを持つ佐藤尚之氏、「日本辺境論」で大ブレイクした学者の内田樹氏、コラムニストの早野透氏。
小泉進次郎さんの周辺に集まっているメンバー名を眺めて、どんな未来図を考えるでしょ?!
勝手に進次郎氏の人脈づくりに動いている人たちが居るというのは、竹中平蔵さんを巡る中で触れた一つのキーワード、「政策プロモーター」に近い部分があるのかも知れませんやね。田原総一朗氏は飽くまで後見人という立場で名刺交換会に出席していたことになりますが、結構、際どいのは田原さんにしても悪気はないんでしょうが、実際には竹中平蔵さんとの共著なども出版されており、実は、かなり、ギャップを含んでいる。
父・小泉純一郎の路線と、子・小泉進次郎の路線は、全く方向性が異なるというか、180度近い差異があるようにも思える。
昨今、「ゆとり世代」を「さとり世代」と呼びかえる動きがありますよね。ネット掲示板の盛り上がりを朝日新聞が報じ、さとり世代というキーワードが登場した。
「ゆとりって呼ぶな! 僕たちは悟っているだけ」
「ほほぅ。既に、悟っちゃったんですね。人生経験が少なくても悟れてしまいましたか…」
と相槌を打って、おしまいになる気がするし、新聞報道以降のさとり世代以外の反応というのが気になりますかね。
NHK「フカヨミ」に原田曜平さんが出演されていましたが、原田曜平著『さとり世代――盗んだバイクで走り出さない若者たち』(角川oneテーマ)は、笑いながら、その、さとり世代を研究しようという内容。まえがきには、マイケル・サンデルの白熱教室にしたかったのに失敗してしまったという旨の記述もありましたが、それもそのハズで、この、ゆとり世代というか、さとり世代というのは、草食男子などのキーワードに代表されてきたように、従来の価値感では把握できない価値観を有している可能性が高い。「世代」として括っていますが、奥底まで追求していくと世代で区切らずとも、世の中全体が、日本社会全体の傾向とも重なっているような部分も見えてくる。パッと切り替わったのではなく、おそらくは、デフレ、それに伴う自己防衛、更に情報端末の進化などは、中高年にも起こっている変化でしかない。それでも、思春期とか、人格形成期に習得した価値観は根強く残るので、理解できない人には全く理解できないであろう世界。
また、この原田曜平さんなのですがクマゴロー然とした容貌とは相容れないユーモアと包容力で、掴みどころがないとされる、「ゆとり=さとり世代」の実像を、漠然と浮き上がらせている。「さとり世代というのは、さとっている風の世代という意味だよね」と修正している。(正面突破で、そういう名称の改称をすると、意地悪な気分を惹起させるものですからね。)
副題になっている盗んだバイクで走り出さないうんぬんは、残念ながらヒッカケで、誰も引っ掛かってくれない。是非とも「バイクを盗んではいけないと思います」という意見を目にしたかったのですが、そこは、ちゃんと整理されており、バイクを盗んだとしても、走りださない事に、バイクを盗んだとしても自由に向かって走ったりしないし、既に自由であるという、そこ、そこに「ゆとり=さとり世代」の何かがありそう。もう、何かモノを獲得したいという欲望に従がう価値観ではなく、リスクを抑えて生活したい価値感で、物欲をセーブして斜陽に備えるデフレ型、縮み型の価値観になっている。(NHK「フカヨミ」になると、フェミニズム的な論客が強く、それに続けて、シングルマザーうんぬんの話となり、ペアリングの肯定と草食批判、お決まりの再分配論にもっていくばかりでしたが、多分、それとも違うだろうという風に読みましたけど。)
なんだか複雑ですかねぇ。小泉政権の頃、自称改革派の人たちは世襲制批判を展開しており、世襲議員であるというだけで落選させろという論調でしたよね。進次郎氏が立候補を表明、そんなの当選確実じゃないかっていうタイミングに於いては、テレビのバラエティ番組で名前を知られていた「ソーリ」というニックネームの候補者を応援すべきだという空気はインターネット上で起こっていた記憶がある。
「世襲議員は一網打尽にすべき」と言っていた人たちはダンマリとなり、ダンマリどころか、いつの間にか「さすが小泉さんところの息子は度胸が違う」と膝をポンと叩いて掌返しをして、現在ともなると、進次郎氏のグルーピーのようになっている。
「原発ゼロ」という発言についても、毎日新聞と朝日新聞が熱心に報じている。一時的に小泉支持であった読売新聞の迷走も凄くて、菅政権から野田政権へと靡いた部分は歴史的なドン引き現象だった気がしました。特に毎日新聞の社説についてですが、宮崎哲弥さんによると、「消費増税には賛成だ。しかし、新聞は軽減税率で守られるべきだ」という論説は実に七回以上であるという。このあたりもドン引き。
引き算による思考、彼等を信認するワケにはいかないだろうという、積極的な支持ではなく、消極的な支持を多分に含めて、きっと政党支持率などの数字があるのでしょう。安倍内閣の支持率の高さは安定的であるという意味になるのだと思いますが、よくよく回想してみると、小泉政権というものが構造改革を掲げるテレビ政治であったのが浮き彫りになって来る。
週刊文春10/10号には、「小泉進次郎政務官のブレーン名簿」なる小さな記事がありました。5月中旬、小泉事務所の狭い会議室で、十人ほどの人物が招かれた名刺交換会のようなものがあった、と。仕掛け人は、津田大介氏で、後見人になっていたのが田原総一朗氏。
そこに集まったメンバーについても少し名前が出ていました。作家の乙武洋匡氏、社会活動家の湯浅誠氏、社会学者の開沼博氏。その他のメンバーの名前は出ていませんが、若手論客や美人カメラマン、被災地支援のNPO代表らであったという。
その名刺交換会とは別の人脈づくりも始まっており、ベンチャー育成の第一人者でグロービス代表の堀義人氏らの呼び掛けた四十歳以下のリーダーらを集めた合宿に、進次郎氏は参加していたという。他のメンバーは、直木賞作家の朝井リョウ氏、昨今、テレビ出演も増えた社会学者の古市憲寿氏。
それと、もう一つ、やや不可解な食事会についても触れられている。鳩山政権で官房副長官を務めていた松井孝治氏が幹事をしていた都内レストランの食事会が昨年11月に行われており、そこにも進次郎氏が出席していた、と。食事会出席メンバーは、鳩山元総理の演出過多な所信表明演説を書いた劇作家の平田オリザ氏、コミュニケーションディレクターなるカタカナな肩書きを持つ佐藤尚之氏、「日本辺境論」で大ブレイクした学者の内田樹氏、コラムニストの早野透氏。
小泉進次郎さんの周辺に集まっているメンバー名を眺めて、どんな未来図を考えるでしょ?!
勝手に進次郎氏の人脈づくりに動いている人たちが居るというのは、竹中平蔵さんを巡る中で触れた一つのキーワード、「政策プロモーター」に近い部分があるのかも知れませんやね。田原総一朗氏は飽くまで後見人という立場で名刺交換会に出席していたことになりますが、結構、際どいのは田原さんにしても悪気はないんでしょうが、実際には竹中平蔵さんとの共著なども出版されており、実は、かなり、ギャップを含んでいる。
父・小泉純一郎の路線と、子・小泉進次郎の路線は、全く方向性が異なるというか、180度近い差異があるようにも思える。
昨今、「ゆとり世代」を「さとり世代」と呼びかえる動きがありますよね。ネット掲示板の盛り上がりを朝日新聞が報じ、さとり世代というキーワードが登場した。
「ゆとりって呼ぶな! 僕たちは悟っているだけ」
「ほほぅ。既に、悟っちゃったんですね。人生経験が少なくても悟れてしまいましたか…」
と相槌を打って、おしまいになる気がするし、新聞報道以降のさとり世代以外の反応というのが気になりますかね。
NHK「フカヨミ」に原田曜平さんが出演されていましたが、原田曜平著『さとり世代――盗んだバイクで走り出さない若者たち』(角川oneテーマ)は、笑いながら、その、さとり世代を研究しようという内容。まえがきには、マイケル・サンデルの白熱教室にしたかったのに失敗してしまったという旨の記述もありましたが、それもそのハズで、この、ゆとり世代というか、さとり世代というのは、草食男子などのキーワードに代表されてきたように、従来の価値感では把握できない価値観を有している可能性が高い。「世代」として括っていますが、奥底まで追求していくと世代で区切らずとも、世の中全体が、日本社会全体の傾向とも重なっているような部分も見えてくる。パッと切り替わったのではなく、おそらくは、デフレ、それに伴う自己防衛、更に情報端末の進化などは、中高年にも起こっている変化でしかない。それでも、思春期とか、人格形成期に習得した価値観は根強く残るので、理解できない人には全く理解できないであろう世界。
また、この原田曜平さんなのですがクマゴロー然とした容貌とは相容れないユーモアと包容力で、掴みどころがないとされる、「ゆとり=さとり世代」の実像を、漠然と浮き上がらせている。「さとり世代というのは、さとっている風の世代という意味だよね」と修正している。(正面突破で、そういう名称の改称をすると、意地悪な気分を惹起させるものですからね。)
副題になっている盗んだバイクで走り出さないうんぬんは、残念ながらヒッカケで、誰も引っ掛かってくれない。是非とも「バイクを盗んではいけないと思います」という意見を目にしたかったのですが、そこは、ちゃんと整理されており、バイクを盗んだとしても、走りださない事に、バイクを盗んだとしても自由に向かって走ったりしないし、既に自由であるという、そこ、そこに「ゆとり=さとり世代」の何かがありそう。もう、何かモノを獲得したいという欲望に従がう価値観ではなく、リスクを抑えて生活したい価値感で、物欲をセーブして斜陽に備えるデフレ型、縮み型の価値観になっている。(NHK「フカヨミ」になると、フェミニズム的な論客が強く、それに続けて、シングルマザーうんぬんの話となり、ペアリングの肯定と草食批判、お決まりの再分配論にもっていくばかりでしたが、多分、それとも違うだろうという風に読みましたけど。)
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この記事へのコメント
1. Posted by オハイオより 2013年10月21日 23:48
進次郎氏は親父と違って、お行儀良く見えますね。(自信や能力、実績がない証拠とも言えますが)
ここに出ているブレーンと言われる人も、とても保守派なら相手にしない人たちですよね。単なるパフーマンスなのかほんとうに興味があるのか、、。
今の時代、政治家もマスコミも弱者の味方を標榜していないといけませんからね。
NHKの深読みなど年収数千万の人がよく言うよって思います。こういう偽善も若者を無責任のさとりに導いているんではと。
ここに出ているブレーンと言われる人も、とても保守派なら相手にしない人たちですよね。単なるパフーマンスなのかほんとうに興味があるのか、、。
今の時代、政治家もマスコミも弱者の味方を標榜していないといけませんからね。
NHKの深読みなど年収数千万の人がよく言うよって思います。こういう偽善も若者を無責任のさとりに導いているんではと。
2. Posted by メロンぱんち 2013年10月22日 09:39
オハイオよりさん>
テレビは「小泉ブランド」に頼るところがあるので、取り上げられる機会が多いのは確かで、どうも水面下では引っ張り合いが起こっているのかも…。
テレビは「小泉ブランド」に頼るところがあるので、取り上げられる機会が多いのは確かで、どうも水面下では引っ張り合いが起こっているのかも…。