2020年の東京五輪の招致に向け安倍晋三首相が東京電力福島第1原子力発電所の汚染水問題を制御できているとの見方を示したことを受け、政府は対応を強化する。9日に東京電力と初の現地調整会議を福島県内で開き、漏洩が見つかったタイプと同じ型のタンク(約300基)の総入れ替えを決めた。ただ首相の国際公約を果たすには課題も多い。
10日には福島第1原発の廃炉・汚染水対策関係閣僚会議を初めて開く。福島県内で9月中にも、関係省庁の職員計10人弱が常駐する現地事務所を開設する方向だ。9日の会議で議長を務めた赤羽一嘉経産副大臣は「会議のメンバーで小さなリスクも共有し、抜本的な対策をとる」と表明した。
政府が前のめりになる背景には国際オリンピック委員会(IOC)総会での首相の発言も大きく影響している。
「汚染水の影響は福島第1原発の港湾内の0.3平方キロメートルの範囲内で完全にブロックされている」。首相は対応策が機能している点を強調した。福島第1原発は広さ0.3平方キロメートルの港湾に面しており、港湾の出口の水中に特殊素材によるカーテン状のシルトフェンスと呼ぶ膜を張っている。これにより汚染水漏れがあっても「港湾内」にとどまるというのが政府の言い分だ。
ただフェンスは完全でなく「多少の海水の行き来はある」(東電)。原発敷地内の汚染水の動きは正確には分からず、どれだけが海に流れ出しているかも不明だ。首相が示した制御という判断にそぐわない面もある。
首相は「(放射性物質の)数値は最大でも世界保健機関(WHO)の飲料水の水質ガイドラインの500分の1だ」とも語った。WHOによる飲料水の水質ガイドラインは放射性物質の濃度基準を定めており、トリチウムで1リットルあたり1万ベクレル、放射性セシウムで同10ベクレル。海洋内の放射性物質の濃度はこれを大幅に下回る。ただ放射性物質の濃度は高止まりしており、少しずつ海に染み出している可能性はある。
国際社会の懸念に配慮し、山本一太科学技術相は15~17日の日程で、ウィーンで開く国際原子力機関(IAEA)総会に出席し、470億円の国費投入などの対策を説明する。一方、汚染水問題の緊急度が高いとみるIAEAは、今秋に日本へ調査団を送る予定だ。
東京電力、福島第1原子力発電所、安倍晋三、赤羽一嘉、山本一太
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