衆院予算委:首相改めて「汚染水は完全にブロック」
毎日新聞 2013年10月22日 21時08分(最終更新 10月22日 21時15分)
安倍晋三首相は22日の衆院予算委員会で、東京電力福島第1原発の汚染水問題について「モニタリングをして(放射性物質の)基準値をはるかに下回っている。汚染水の影響は、完全にブロックされている」と述べ、海洋への影響を否定した。共産党の笠井亮氏への答弁。
汚染水問題を巡り、首相は9月の国際オリンピック委員会(IOC)総会で「影響は原発の港湾内で完全にブロックされている」「状況はコントロールされている」などと強調。しかし、16日の衆院代表質問では「影響は発電所の港湾内にブロックされている。全体としては状況はコントロールされている」と答弁。「完全に」を省き、「全体としては」の表現を加え、微妙に修正していた。
笠井氏は首相発言の変化を踏まえ「なぜ言いぶりが変わったのか」と追及。これに対し、首相は「完全に」を省いたことについて「基本的には同じだ。健康への被害の意味でも完全にブロックされている。その考え方は変わっていない」と反論した。
一方、甘利明・環太平洋パートナーシップ協定(TPP)担当相は、TPP交渉について「聖域とは、日本が守らなければならない死活的利益ということで表現している。具体的に何と何だと、特定したということではない」と強調。TPP交渉で焦点となっているコメなど重要5項目の586品目も「聖域」とせず、関税撤廃の対象になる可能性に言及した。
自民党は今年7月の参院選の政策集で「重要5項目などの聖域を最優先し、確保できない場合は脱退も辞さない」と明記している。質問した生活の党の畑浩治氏は「国民への背信行為だ。聖域をはっきり答えなくて、どうして守れるのか」と批判。笠井、畑両氏は汚染水問題とTPPについて、予算委の集中審議を開くよう要求した。【高山祐】