原発事故:畜産農家補助金27億円未返済
毎日新聞 2013年10月22日 21時58分
東京電力福島第1原発事故で被害を受けた畜産農家の資金繰りのため、独立行政法人「農畜産業振興機構」が返済を条件に交付した補助金を会計検査院が調べたところ、岩手、宮城、福島の3県で約27億円が返済されていないことが分かった。
この補助金は農家が東電から賠償を受けたり、牛が販売できたりした際には同額を返す必要がある。検査院は、東北3県と千葉、岐阜の5県を抽出し、2011年度に交付された約119億円の返済状況を調査。今年3月時点で、東北3県の約27億円(約9500頭分)が未返済だった。
東電の賠償手続きに時間がかかったり、牛の販売価格が大幅に下落したりして農家の経営が悪化するなどし、返済が滞るケースが多いという。検査院は機構に対し、農家の経営状況を把握して適切な指導をするよう求めた。機構の肉用牛肥育経営課は「返済する余力がない農家もおり、分割での返済も検討したい」としている。【古関俊樹】