政府と公明党は16日、国家機密の情報漏えいに厳罰を科す特定秘密保護法案の修正協議で、取材行為に関して「著しく不当と認められない限り、正当業務行為とする」との規定を追加することで大筋合意した。取材の自由を具体的に担保することで政府が譲歩する一方、「不当」と判断する基準はなおあいまいで、取材活動への萎縮効果が残る懸念がある。政府は22日にも法案を閣議決定し、今国会での成立を目指す。
礒崎陽輔首相補佐官と公明党プロジェクトチームの大口善徳座長が合意した。同党は17日の幹部協議後、正式な表現も確認した上で法案提出を受け入れる。
取材行為を罰則から除外する規定を巡っては、「知る権利と一体」と明記を求める公明党が、「取材行為は法令違反、著しく不当な方法と認められない限りは正当業務行為として罰しない」との修正案を示していた。政府は「情報漏えいの教唆(そそのかし)があった場合、漏えいした側だけが罰せられるのは不公平」と拒否してきたが、16日の協議で、公明案から「罰しない」との表現を外すことで双方が譲歩した。
特定秘密を指定する基準作りについては「専門家から識見を聞く」とし、有識者の関与をある程度担保。歴史の検証などの観点から公明党が法案の付則に加えるよう求めていた公文書管理法、情報公開法の改正は明記せず、衆参両院の付帯決議や国会答弁で補う。
同法案にはこれまでの修正協議で、報道の自由以外に知る権利、取材の自由を尊重する規定を追加。特定秘密の指定が30年を超える場合は内閣の承認が必要との修正も加えていた。【小山由宇、高本耕太】