はじめまして、ツレヅレハナコと申します。
肉(特に内臓)、酒、スパイス、ハーブが大好きで、大量摂取の日々。
その「おいしかった!」「たまらんかった!」という思いをぶつけまくる場として、
飲み食い記録ブログ『ツレヅレハナコ』をせっせと7年ほど書いております。
自分で料理をつくることも好きですが、やっぱり楽しみはお店のごはん。
「好きになったらとことん行くぜ……!」と、
特別な想いを寄せる数軒に通い詰めていたら、たまには良いことがあるものです。
呑み友達であるピ-スオブケイクの加藤さんから、
「ハナコさん。そんなに好きなら、その店のレシピを習いに行きませんか?」と
お声がかかりました。
……えっ。そんなの。いーきーたーいー!!!!!
というわけで、大好きなお店の大好きなレシピ。
「どこにも紹介したことないよー」という、幻のレシピもご紹介できる予定です。
あの店が大好きだから、そのおいしさをもっと知りたい……!
そんな愛の詰まったレポにできればうれしいです。
では、1軒目、どぞー!
天★との出会い
「あああー、のどかわいた!! どこ呑みに行くー?」
そんな話をしつつ、今宵の呑み屋を求めて立ち読みしていた暑い日の午後。
ギラギラ光る私の目に飛び込んできたのが、
東高円寺「天★」の雑誌紹介記事でした。
………ん? なんだここ?
小さな薄いグラスに注がれた、真っ白な発泡しゅわしゅわにごり酒。
その隣には、和風に味つけしてあるというレバーパテ。
パテの上には、いちごと……ディル!?
むー、なんだかわからないけど、やたらにうまげなビジュアル。
「これだ! ここにしよう!」と雑誌をつかみ、その場で予約の電話を入れたのでした。
たどり着いたのは、東高円寺の青梅街道沿い。
一瞬、前を通りすぎてしまったほど店のつくりはそっけなく、
ガラスサッシでできた簡素な入口の奥にはカウンターのみ。
(*今では、立ち退いた隣の店をワイルドにぶち抜いた座敷があります)
あからさまにコワそうなヒゲの主人が、もくもくと何かをつくっている。
席に着いて手書きのメニューを開くと、雑誌にもあったとおりの注意書きが。
「酒はビールと日本酒のみ。焼酎やサワー、ワインは一切ありません」。
正直、この頃(2008年)はまだ日本酒になじみがなかったので、
「まあビールをガンガン呑みつつ、日本酒も呑んでみようかな~」という程度。
でも。
これこそが、日本酒との運命の出会い。
完全に魅了されたと言っても過言ではありません。
ヒゲのコワモテ店主と簡素な店(しつこい)とは思えない、センスのいいお通し。
この日なんて、手作りのトマトコンフィチュールですよ、奥さま!
ときにはパクチーサラダ、ときには握り鮨(!)、ときには絶品アラのお吸い物……。
なーに、なーに、この店! お通しでこのレベル?
メインメニューを見ても、「いぶりがっこと酒粕チーズ」
「青バナナと白身魚のてんぷら」「ささみのなめろう」「いちじくのおひたし」
「モッツアレラと2色トマトの塩昆布和え」……
……はあはあはあはあ。
字ヅラだけでもよだれが。しかも、お手頃!(ほぼ500~1000円以下)
もちろん、ベーシックな季節の刺し盛りや、珍味なんかも日替わりで登場します。
日本酒のオーダーは、吟醸だの山廃だのひやおろしだの、一切わからなくて無問題。
アホの一つ覚えのように、「辛口ください」と言い続ける必要もありません。
食べたい料理を欲望のままに頼めば、
酒の在庫が詰まった冷蔵庫からベストチョイスの銘柄を少しずつ持ってきてくれる。
日本酒って、こんなにいろんな味や香りや組み合わせがあったのね~。
(ちなみに、ここの日本酒は、すべて店主が実際にお付き合いのある蔵の銘柄のみ)
私はワインも日本酒も(ほかの酒もw)大好きですが、
呑んだ銘柄を覚えられないし、覚える気もあまりありません。
しいて言えば、あまりに好みだったものだけメモして覚える程度。
でもそんなのは、酒への愛情あふれる店の方にババンとおまかせすればよいかと。
結局、一番おいしく効率的に飲み食いできるのは、この方法じゃないかなー。
そんなわけで、がっつりハマって早5年。
相変わらず「次のお酒くださいー」としか言わない完全おまかせのオーダー方法ですが、
“日本酒を飲みながら食事をする”ってことが大好きになりました。
ここ数年でだいぶ変わってきたとはいえ、
まだまだ「日本酒=甘ったるくて悪酔い」ってイメージが強いのかな。
でも、そんな人こそ、まずは「天★」へゴーゴー!
「これまで呑まなくて損したよー」と叫びたくなること間違いなしかと!
某月某日のツレヅレ飲み食い
はー、おなかすいたーん。
というわけで、毎度おなじみ東高円寺「天★」へ。
今宵は2名での来店でございます。
カウンターに陣取り、まずはプレモルの瓶ビールでカンパーイ!
本日のお通しは、サワラと真ガレイの卵の煮つけ。
主人の早坂さんによると、
「サワラと真ガレイ両方入ってる人もいるし、
入ってない人もいるんだよね」って、ざっくりしてるw
生姜がきいた甘辛煮汁にホロホロ魚卵……
うーん、新鮮だからまったく臭みがなくて美味しいなあ。
お酒は、もちろんお任せで。
「夏シリーズいきましょうかー」と、「天青」と「出雲富士」の「夏雲」。
日本酒は季節ごとにラインナップが変わるので、一期一会の楽しみがあるよね~。
ちなみに神奈川の酒蔵のお酒である「天青」は、
このお店の名前のもとになったお酒です。
杜氏の五十嵐さんは、自分が信じた作り方を徹底してやり抜く芯の通った方。
早坂さんが自分の店をつくろう開こうとがんばっていた当時、
同い年で杜氏として奮闘していた五十嵐さんの心意気に共感して、
「いつか店をやるときは、この店名に」と二人で決めたそう。
新しい日本酒を育てる世代ならではの、ええ話ですな~。
続きをお読みになりたい方は、cakesの有料購読の手続きをしてください。
有料会員になっていただくと、cakesのすべての記事をお読みいただけます。