「ハナコさんが、一番好きなお店ってどこですか?」。
そんな質問をされることがありますが、なかなか普通は答えづらいもんですよね。
でも、私は即答できちゃいます。
これまで私が行ったすべての店の中で一番好きなお店は、
吉祥寺の居酒屋「おでん太郎」。
料理、お酒、人、空間、コストパフォーマンス……、
すべてが完璧といっても過言ではないと思う。
初めて訪れたのは、今から7年ほど前のこと。
当時、吉祥寺に住んでいた私は、お店の前を毎日のように通っておりました。
店頭には、「おでん」「米沢の酒」などと書かれたシブい看板……。
うーん、うーん。
気にはなるものの、どーにもこーにも入りづらい。
だって、入り口にはガチな縄のれん!
あまりにも暗すぎる怪しい階段を下りた地下にあるのです。
こ……こわいっつーの!
でもある日、おそるおそる一人で階段を降りてみた。
すると……、そこには明るく清潔で温かく、超ピースフルな空間が!
なーに、なーに!? ココなに!?
よく使いこまれた木のカウンターと、テーブル席がふたつ。
カウンターの中には、ナイスミドルなご主人・太郎さんと、
やさしい笑顔のおかみさん。
(それと、お手伝いのバイトさんがちらほらと)
目を引くのは、大きな専用鍋でコトコト煮えるおでんに、
あからさまにうまげな大鉢のお惣菜の山!
やや緊張気味の私に、
にこにこ自然に話しかけてくれるおかみさん。
そのゆっくりしたやさしい口調と、上品なたただずまいに、
一気にリラックス。
絶対ココ、大当たりだわー!!!
しみじみマットーに、おいしいおでん。
大鉢惣菜は「たくさんのおいしい家庭料理をつくってきた人」ならではの、
安定感あふれるものばかり。
かつ、その大鉢惣菜レシピには、少しずつひねりが効いている。
なんだろう。家庭料理なのに、どこか品があるのよねー。
聞くと、おかみさんは懐石やフレンチなどを、
一通りきっちり習った方だそう。なるほど……。
当時は仕事帰りにふらりと寄れたので、一人で行き、
おかみさんや太郎さんと話しながらお酒を一杯……ってのがほとんど。
それは、なんとも幸せな時間。
仕事で疲れていたり、彼氏とケンカをしたり、
なんだかうまくいかないことが続いた時も、
ここに来ると元気になってしまうのでした。
吉祥寺から引っ越すとき、真っ先に浮かんだのも「太郎」のこと。
もう来られなくなっちゃうなんて……無理すぎる! 涙
悩んだ結果、「吉祥寺の美容院に通う」ことを思いついて解決。
これなら定期的に吉祥寺に来られるやんけ……私、天才……!(←アホ)
そこまでしても来たい店。
吉祥寺まで足を延ばす価値は大ありですよー!
<某月某日のツレヅレ飲み食い+α>
「太郎」のお惣菜は、旬の食材を使ったものがほとんど。
例えば去年の秋にも食べたオリジナルメニューが登場すると、
「今年も秋が来たなあ」とうれしくなる。
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