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元首相発言―トイレなき原発の限界

小泉純一郎元首相が、ここにきて積極的に「原発ゼロ」を訴えている。放射性廃棄物という「ごみ」の始末に道筋がついていない以上、原発を続けるのは無責任。自然エネルギーや省エネ[記事全文]

医学部新設―医師偏在をなくすには

安倍首相が、東北地方で医学部の新設を検討するよう、下村文部科学相に指示した。地元国会議員や知事らの要望を受けたものだ。医学部の新設は「国家戦略特区」でも要望がある。「復[記事全文]

元首相発言―トイレなき原発の限界

 小泉純一郎元首相が、ここにきて積極的に「原発ゼロ」を訴えている。

 放射性廃棄物という「ごみ」の始末に道筋がついていない以上、原発を続けるのは無責任。自然エネルギーや省エネを生かした循環型社会を目指すべきだ――といった内容である。

 「トイレなきマンション」になぞらえられるこの問題は、私たちも社説で折に触れて指摘してきたところであり、小泉氏の主張はもっともだ。

 日本のエネルギー政策を見直すうえで、根源的かつ早急な対応を迫られている課題である。そのことを、政府はしっかり認識してもらいたい。

 安倍首相は今国会で、野党の質問に答える形で「可能な限り原発への依存度を下げる」と繰り返している。

 だが、発言とは裏腹に、政府内で進められている議論は「原発回帰」が鮮明だ。

 年末に向けたエネルギー基本計画の見直し作業でも、原発の必要性を強調する議論ばかりが先行している。原発の後始末にかかる政策は、いっこうに具体化が進んでいない。

 とくに、放射性廃棄物を深く地中に埋める「地層処分」の候補地については、02年から公募を続けているが、手をあげる市町村がない。福島の原発事故を目の当たりにしたのだから、なおさらである。

 安倍首相はきのうの国会答弁で、地層処分について技術面でさらなる検討を加える意向を示したが、問題の根本は原子力政策そのものへの国民的合意がないことにある。

 脱原発とセットで廃棄物処理の具体策を検討すべきだ。

 その点で、日本学術会議がまとめた提言は参考になる。

 まず、廃棄物を地表か浅い地中で暫定保管する方針に切り替える。そのうえで、ごみの量が増加し続けないよう総量の上限を設ける。

 私たちは核燃料サイクル事業もやめるべきだと考える。使用済み燃料棒は不安定なプールではなく、「乾式キャスク」と呼ばれる強固な入れ物に移し、地表で暫定管理する。

 そうした環境を整え、最終処分法についての研究や社会の合意形成をじっくり進めていくのが現実的だろう。

 暫定保管とはいえ、安全基準を定め、法律を整備し、貯蔵のための設備を製造・構築するにも時間がかかる。条件を満たせない原発は運転を認めない、といった規制も必要になる。

 後始末なき原発回帰は、「国の責任」からほど遠い。

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医学部新設―医師偏在をなくすには

 安倍首相が、東北地方で医学部の新設を検討するよう、下村文部科学相に指示した。地元国会議員や知事らの要望を受けたものだ。

 医学部の新設は「国家戦略特区」でも要望がある。「復興支援」で東北で特例的に認めるだけなら意義はうすい。今後、高齢化が一気に進み、医師不足が深刻化する首都圏などへの目配りが求められる。

 重要なのは、医師の養成を偏在の是正につなげることだ。

 高齢ニッポンの医療ニーズを満たす医師をどう計画的に配置できるか。この問いに正面から向き合う必要がある。

 日本の医療は大きな転換を迫られている。

 これまでは、技術を尽くして患者を徹底治療する「とことん型」が中心だった。病気やケガが治れば、元の生活に戻れるという前提があった。

 今後は、現役世代の数が減少する一方、75歳以上の後期高齢者が急増する。複数の病気を抱えた高齢者が、完全には治らずとも地域で暮らし続ける。その生活を支える「まあまあ型」の医療の需要が増える。国際医療福祉大の高橋泰教授はそう分析する。

 このニーズを満たせる医師を育て、都市と地方で異なる高齢化にあわせて配置しなければならない。政府の社会保障国民会議も同じ方向性を打ち出した。

 実現のためには、まず医師の養成を変える必要がある。

 一つは勤務地の問題だ。いま地方の医師不足には、既存の医学部に「地域枠」を設け、定員を増やすことで対応している。

 都道府県から奨学金を受け、医師になってから自治体病院やへき地の診療所などに一定期間(標準9年)勤務すれば、返済が免除される。この方式をさらに拡充すべきである。

 もう一つは診療科の問題だ。

 厚生労働省の検討会が今春、専門医に統一的な基準を設ける新しい制度の骨格をまとめた。まあまあ型医療の要となる「総合診療専門医」の新設を含め、どんな専門医を、どこで、どのくらい養成するかに枠を設け、偏在解消につなげる考えも議論された。

 しかし、医療界では「偏在是正に国が医師を強制的に配置するのはおかしい」といった意見が根強く、効果は不透明だ。

 自由を制限されるのは誰でもいやだ。とはいえ、医師の仕事の公共性は高い。この二つにどう折り合いをつけ、未曽有の高齢化に立ち向かうか。医学部新設は、この課題の中に位置づけられなければならない。

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