August 12, 2013
約11年周期で知られる太陽磁場の反転が、数カ月以内に迫っている。
太陽磁場の観測を続けるアメリカ、スタンフォード大学の太陽物理学者トッド・ホークセマ(Todd Hoeksema)博士は、「太陽系全体に波及効果が生じる」と発表。同氏が責任者を務める同大学のウィルコックス太陽観測所(Wilcox Solar Observatory)は、北極・南極の磁場をモニタリングしている世界でも数少ない観測施設である。
太陽の(磁場)活動は、自転エネルギーが磁場エネルギーに変換される太陽ダイナモが駆動している。約11年に1度、黒点の数がピークに達する太陽活動の極大期に、コロナ質量放出(CME)とともに内部の磁場も放出、同じタイミングで極性を変える・・・
太陽磁場の観測を続けるアメリカ、スタンフォード大学の太陽物理学者トッド・ホークセマ(Todd Hoeksema)博士は、「太陽系全体に波及効果が生じる」と発表。同氏が責任者を務める同大学のウィルコックス太陽観測所(Wilcox Solar Observatory)は、北極・南極の磁場をモニタリングしている世界でも数少ない観測施設である。
太陽の(磁場)活動は、自転エネルギーが磁場エネルギーに変換される太陽ダイナモが駆動している。約11年に1度、黒点の数がピークに達する太陽活動の極大期に、コロナ質量放出(CME)とともに内部の磁場も放出、同じタイミングで極性を変える。
このサイクルが訪れると、「北極と南極の磁場が弱まってゼロにリセットされ、極性(プラスとマイナス)を反転させた新たな磁場が両極に現れる」と、同じくスタンフォード大学の太陽物理学者を務めるフィル・シェラー博士(Phil Scherrer)は説明する。
反転の兆候は既に確認されているが、今回は若干の“ずれ”があるという。ウィルコックス太陽観測所のデータから、両極の動きが同期しておらず、マイナス磁場の北極は既にゼロに近づいているが、プラスの南極は反転が遅れている。つまり現時点では、太陽には2つの南極が存在していることになる。
間もなく南極でも反転が完了する見込みで、「おそくらくあと3~4カ月で追いつくだろう」とホークセマ氏。
ウィルコックス太陽観測所は、1975年以降の太陽磁場の観測データを数値変換してマップ化、オンラインで公開している。
「当観測所の機器は、観測開始から調整やアップグレードが一切加えられていない」とシェラー氏は強調。「40年間、同じ手法で同じ対象を観測し続けたデータを分析できる場所はここだけ。これまで観測した3サイクルの太陽磁場の状況を比較することも可能だ」。
◆極性反転の影響とは?
太陽磁場の影響範囲(太陽圏)は、冥王星をはるかに越える領域まで及んでいる。極性が反転するとその影響は太陽系全体に波及し、星間空間を目指して飛行中の惑星探査機ボイジャーも例外ではない。
影響を受ける現象の代表例が、自転する太陽の磁場から発生する“太陽圏電流シート”だ。約1万キロメートルの厚さで、太陽圏全体に水平の渦巻き状に広がり、回転電流が発生している。
電流の強さは微弱(10-10A/m2)だが、地球の磁場圏も通過し相互作用を起こす。
磁場の反転時には、電流シートに大きな波が生じ、太陽の周囲を公転する地球も、波打つシートへの出入りを繰り返すことになる。地球の周囲の宇宙天気が不安定になると考えられている。
また、電流シートの形状は、外宇宙から地球に降り注ぐ宇宙線の量にも影響する。
超新星爆発などの大規模な天文現象で生まれる高エネルギー荷電粒子で、宇宙飛行士や宇宙探査機、地球の雲量や気候への悪影響も懸念されている。内太陽系への宇宙線の侵入を防ぐバリアとしての役割が、太陽圏電流シートにはある。そして電流シートの波が大きいほど、効果的なバリアになるという。
◆地球の磁場も極性が反転?
磁場が反転する太陽系の天体は、太陽だけではない。地球にも磁場があり、過去10億年の間に何度も極性が反転している。
しかし地球の場合は、反転の頻度がはるかに低い(平均して20~30万年に1回)。
また、2006年に発表された古い船舶の航海データの解析結果から、地球の磁場が徐々に弱まっており、1840年以降から現在までマイナス数%減少しているという。
もしこの傾向が今後も続くと推定すると、2000年後には地球の磁場も極性が反転するという。
「その場合でも、短時間で入れ替わるような急激な変化ではない。徐々に弱まり反転することになるだろう」とシェラー氏は語った。
Image courtesy SDO/NASA