JPモルガンCEOは鉄の男-過去最高和解金でも投資家は信頼
10月21日(ブルームバーグ):米銀JPモルガン・チェース は住宅ローン担保証券(MBS)販売をめぐる民事訴訟を決着させるため、和解金としては過去最高の130億ドル(約1兆2700億円)を支払うことで米当局と暫定合意に達した。これで同行が刑事責任を問われる可能性がなくなるわけでないが、ジェイミー・ダイモン会長兼最高経営責任者(CEO)に対する一部投資家の信頼は揺らいでいない。
米住宅関連用品小売りのホーム・デポを創業した資産家のケン・ランゴーン氏は、米司法省との和解合意について、JPモルガンと2008年に同行が買収・合併したベアー・スターンズおよびワシントン・ミューチュアルが、MBSの証券化と販売の過程で投資家を欺いたと主張する訴訟や調査を決着させるものであり、JPモルガンの株式を買う好機になるとの見方を示す。
ランゴーン氏は20日の電話取材に対し、「今回問題があると指摘された行為の主な部分は、ダイモン氏やJPモルガンがこれら2つの会社と関わりを持つ以前に起きたことだ。JPモルガンの投資家であることに私は大いに満足している」と語った。
ダイモン氏(57)は週末18日の市場取引の終了後、ホルダー司法長官と直接電話で協議し、和解の条件を取り決めた。ベアー・スターンズとワシントン・ミューチュアルに関連する米当局の支払い要求のエスカレートが、年内の決着を目指すダイモン氏の努力の妨げとなっていた。同行は230億ドルの訴訟引当金を積み、7-9月(第3四半期)の損益は、ダイモン氏のCEO就任後初めて赤字に転落した。
株主の利益を守る男CLSAのアナリスト、マイク・マヨ氏(ニューヨーク在勤)はインタビューで、「ダイモン氏とJPモルガンが一連の買収に伴う法的リスクを過小評価していたことに疑問の余地はない。ダイモン氏はベアー・スターンズを買収したことで収拾がつかなくなった」としながらも、それは株主が今後支持を撤回することを意味するわけではないと指摘した。
JPモルガンは損失を計上することなく金融危機を乗り切り、3年連続で過去最高益を更新。08年末以降の株価上昇率は72%と、米銀24行で構成するKBW銀行指数の48%を大きく上回っている。マヨ氏は「ダイモン氏はウォール街の鉄の男であり続けるだろう。投資家の利益を実際に守るという点で、なお非常に有能だと受け止められている」と話している。
原題:JPMorgan Record $13 Billion Accord Wouldn’t Deter SomeInvestors(抜粋)
更新日時: 2013/10/21 16:03 JST