|
日本点字図書館主催の「本間一夫文化賞」を受賞する
テレビのリモコンや携帯電話の「5」のボタンには、よく見ると小さな突起がある。指先で触れると中央の位置がわかり、目の不自由な人も操作しやすい。この日本初のアイデアを、国際ルールにするなど、視覚障碍者の生活の向上に貢献したことが評価され、受賞が決まった。
「障害者が世界中で製品を混乱なく使えるようになります」。
工業製品などの国際規格を策定する国際標準化機構(ISO)で「福祉機器技術委員会」の日本代表を務める。
現在の国立障害者リハビリテーションセンター研究所で福祉機器の研究に長年携わった。糖尿病で失明した人向けに、血糖値を音声で伝える測定機も開発。「誰にでも使えるようにするために技術はあるのです」
ISOの会議の合間には各国代表を誘って食事へ。「まず人柄を知る。身構えても、いい結果は出ません」と、穏やかに笑う。
最近は畑違いの生命倫理の本を愛読。「初めて触れる分野だからこそ面白い」。福祉事情も異なる国々の代表が集う会議にも、そんな好奇心を持って臨んでいる。(赤池泰斗)
|
|