福島第1原子力発電所周辺の除染に関し、年間被曝(ひばく)線量を1ミリシーベルトまで下げる長期の目標に「必ずしもこだわらなくてもよい」との見解を国際原子力機関(IAEA)の調査団が示した。
1ミリシーベルトについては国内でも「目標が高すぎて非現実的だ」などと批判が出ている。除染の進め方をめぐる論議に、IAEA調査団が一石を投じた形だ。
長期的には1ミリシーベルトを実現し、原状を回復するのが望ましい。しかし住民の帰還と復興を進めるうえで、長期目標が障害になるようではいけない。
また除染に努めても放射線量がなかなか下がらない現実もある。除染で得られるプラスの面と、除染にかかる費用負担のバランスも考慮しなければならない。
長期の目標は大事にしつつも、住民の帰還や地域の復興を射程に収めた、現実的な足元の除染目標と除染計画を練るべき時期だろう。政府は年間20ミリシーベルトを帰還の目安としてきたが、それが足元の除染目標として妥当なのかは、改めて議論が要る。
線量がある程度下がった地域で、線量計を携帯するなどして住民が自ら被曝を減らすやり方もある。福島県田村市で試行されている。こうした方策にも政府や自治体は知恵を絞るべきだ。
IAEA調査団のレンティッホ団長は記者会見で「除染への期待と現実のギャップを埋める必要がある」と述べた。
1ミリシーベルトまで下がるとこれまで期待してきた住民もいる。除染計画づくりでは住民の声を反映させるべきだが、同時に場所によっては短期的には実現できないことを、政府は住民にはっきり説明する責任がある。1ミリシーベルトは安全と危険を分ける境界線ではない。
国の直轄除染にかかる費用について、産業技術総合研究所は約2兆円と試算したが、政府が費用の全体像を早く示すことも大事だ。それにより、除染の継続か、移住など他の手段が経済的なのかの比較も可能になる。
IAEA、福島第1原子力発電所
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