日本経済新聞

10月22日(火曜日)

日本経済新聞 関連サイト

ようこそ ゲスト様
  • ヘルプ

コンテンツ一覧

トップ > 社説・春秋 > 記事

除染に一石投じたIAEA

2013/10/22付
小サイズに変更
中サイズに変更
大サイズに変更
保存
印刷
リプリント

 福島第1原子力発電所周辺の除染に関し、年間被曝(ひばく)線量を1ミリシーベルトまで下げる長期の目標に「必ずしもこだわらなくてもよい」との見解を国際原子力機関(IAEA)の調査団が示した。

 1ミリシーベルトについては国内でも「目標が高すぎて非現実的だ」などと批判が出ている。除染の進め方をめぐる論議に、IAEA調査団が一石を投じた形だ。

 長期的には1ミリシーベルトを実現し、原状を回復するのが望ましい。しかし住民の帰還と復興を進めるうえで、長期目標が障害になるようではいけない。

 また除染に努めても放射線量がなかなか下がらない現実もある。除染で得られるプラスの面と、除染にかかる費用負担のバランスも考慮しなければならない。

 長期の目標は大事にしつつも、住民の帰還や地域の復興を射程に収めた、現実的な足元の除染目標と除染計画を練るべき時期だろう。政府は年間20ミリシーベルトを帰還の目安としてきたが、それが足元の除染目標として妥当なのかは、改めて議論が要る。

 線量がある程度下がった地域で、線量計を携帯するなどして住民が自ら被曝を減らすやり方もある。福島県田村市で試行されている。こうした方策にも政府や自治体は知恵を絞るべきだ。

 IAEA調査団のレンティッホ団長は記者会見で「除染への期待と現実のギャップを埋める必要がある」と述べた。

 1ミリシーベルトまで下がるとこれまで期待してきた住民もいる。除染計画づくりでは住民の声を反映させるべきだが、同時に場所によっては短期的には実現できないことを、政府は住民にはっきり説明する責任がある。1ミリシーベルトは安全と危険を分ける境界線ではない。

 国の直轄除染にかかる費用について、産業技術総合研究所は約2兆円と試算したが、政府が費用の全体像を早く示すことも大事だ。それにより、除染の継続か、移住など他の手段が経済的なのかの比較も可能になる。

小サイズに変更
中サイズに変更
大サイズに変更
保存
印刷
リプリント
関連キーワード

IAEA、福島第1原子力発電所

【PR】

【PR】



主な市場指標

日経平均(円) 14,693.57 +132.03 21日 大引
NYダウ(ドル) 15,392.20 -7.45 21日 16:32
英FTSE100 6,654.20 +31.62 21日 16:35
ドル/円 98.19 - .20 +0.13円安 22日 7:30
ユーロ/円 134.30 - .34 +0.21円安 22日 7:30
長期金利(%) 0.620 +0.005 21日 14:52
NY原油(ドル) 99.22 -1.59 21日 終値
日経ウーマノミクスプロジェクト 女性が輝く社会へ 無料会員急増中
ニッポン金融力会議
GlobalEnglish 日経版

モバイルやメール等で電子版を、より快適に!

各種サービスの説明をご覧ください。

TwitterやFacebookでも日経電子版をご活用ください。

[PR]

【PR】

ページの先頭へ

日本経済新聞 電子版について

日本経済新聞社について