Share...
21 Oct 2013 15:02

ここから本文です

「風太」ブームから10年…なぜか人気の怪鳥「ハシビロコウ」

産経新聞 10月15日(火)12時25分配信

「風太」ブームから10年…なぜか人気の怪鳥「ハシビロコウ」

“動かない鳥”ハシビロコウ。だが、好きな飼育員にはおじぎをして好意を示すこともある=千葉市動物公園(杉侑里香撮影)(写真:産経新聞)

 後ろ足で器用に立つ愛らしい姿が話題を呼び、日本中に巻き起こったレッサーパンダの「風太」ブームから、はや10年弱。風太に続く次世代アイドルを生み出そうと、千葉市動物公園(若葉区)が9月に実施した「第1回動物総選挙」では、来園者の投票で“怪鳥”と呼ばれるハシビロコウがナンバーワンの座を獲得した。風太と真逆の「愛嬌(あいきょう)を振りまかない」姿がなぜか来園者の心をつかんだハシビロコウ。そもそもどんな鳥なのだろうか。(杉侑里香、写真も)

【フォト】名前はまだない…動物総選挙で1位に輝いたハシビロコウ

 ■「かわいい」票が分散?

 動物総選挙には、同園で飼育されている10種類がエントリーした。下馬評が高かったのは、「キューキュー」という鳴き声で家族を呼ぶコツメカワウソや、ぴんと背筋を伸ばした立ち姿をみせるミーアキャットなど。しかし、蓋を開ければ総投票数1083票のうち、ハシビロコウが249票でトップに。2位のコツメカワウソは164票、3位のミーアキャットは163票で、「圧勝」だった。

 総選挙を企画した市集客観光課の担当者は「『かわいさ』が魅力の動物が複数いたため、票が分散した可能性がある」と分析する。実際、これに該当しそうな2位、3位の得票を合計すると、1位を上回る327票となる。

 また、園内に掲示された各動物の写真の出来が投票行動に影響したという声もある。コツメカワウソのファンという市職員は「かわいさをもっとPRする写真だったら、結果は変わっていたかも」と悔しがった。

 ■実は希少な鳥

 同園ではハシビロコウの雄と雌を1羽ずつ飼育している。「1番人気」なのに、名前は付いていない。一応つがいだが、相性があまり良くないため飼育スペースが分けられている。

 大きなクチバシに鋭い目つきで、体長は約120センチ。アフリカ原産で、国内で飼育されてるのはわずか十数羽のみ。同園を含め5園にとどまる。実は希少な鳥だ。

 外見以上に特徴的なのは“動かない”こと。その理由は食事方法にある。もともと湿地などに生息し、魚や爬虫(はちゅう)類を待ち伏せて捕食する性質があるため、相手に気づかれないようにするためだという。

 ■実はツンデレ

 いかめしく、クールに立ち続ける姿が印象的だが、担当飼育員の伊藤泰志さんは「頭が良く、気に入った相手にはなついてくれる」と話す。普段はツンツンしているが、好きな相手には…という姿は、人間界の言葉で表現すると「ツンデレ」だ。

 伊藤さんが飼育スペースに近づくと、クチバシをたたき合わせるようにして音を出す「クラッタリング」といわれる行動を見せた。これは仲間同士でコミュニケーションを取るときのもの。好意や求愛を示す、頭を振りながら上下に動かす「あいさつ行動」も頻繁に行い、なついている様子を見せた。

 伊藤さんは「ニヒルさが魅力のハシビロだが、頭のてっぺんにふわふわした毛があるなどかわいいところもある。イメージとは違う一面も知ってもらえれば」と話す。選挙結果を受け、ハシビロコウを一目見ようと足を止める人も増えたことから、同園は土日祝日に生態や行動について紹介するガイドツアーを開始。深く知れば、あなたもその魅力のとりこになるかもしれない。

最終更新:10月15日(火)13時30分

産経新聞

 
コメントリニューアルに関するご意見・ご要望につきましては、こちらからお寄せください。