同志社大「バイク通学禁止」に学生猛反発 「八重の桜」の犠牲に?
■キャンパス再編余波
同志社大学の今出川キャンパス(京都市上京区)で来年度からバイク通学が禁止されることになった。
他キャンパスから学部が移転してきて学生が増加し、自転車駐輪場確保のためバイク置き場を廃止するという。しかし、同キャンパスで最近、芝生スペースが整備されたことを「NHK大河ドラマにちなんだ観光スポットだ。このためにバイク置き場が犠牲になるのはおかしい」と捉える学生もおり、禁止撤回を求める署名活動を展開する事態にまで発展している。
■禁止は死活問題
スクーターや大型バイクが所狭しと並ぶ今出川キャンパスのバイク置き場。商学部2年の福井淳平さん(20)は「学校の帰りにバイクでバイト先に向かっている。禁止されるのは困る」と嘆く。
同キャンパスには今年4月、京田辺キャンパス(京都府京田辺市)から文、法、経済、商の4学部(1、2年)が移転し、学生数が一気に約7千人増え、約2万人になった。
これに備え、大学は昨年3月、教職員用の駐車場を約1200台分の駐輪場に転用し、計約4500台の自転車を収容できるようにしたが追いつかず、指定場所以外に駐輪するケースも目立っている。
そこで、大学は来年3月までに約450台分の駐輪場の整備を計画。さらに、バイク約360台が収容できるバイク置き場を廃止し、自転車駐輪場に転用することを決めた。通学中のバイク事故も昨年で約10件起きており、事故防止の観点からも禁止に踏み切ることにしたという。
しかし、「交通機関が発達していない地域から通う学生は、バイクが使えないと下宿せざるを得ない」(経済学部の男子学生)との声も上がっており、死活問題と捉える学生もいる。
■観光地化の犠牲?
「観光スポットにするため、『八重の桜』にちなんだ『容保(かたもり)桜(ざくら)』を植える場所はあるのに、学生のバイク置き場をなくすのは納得できない」。こう話すのは、同志社大の社会問題サークル「ジャバスタ」代表の法学部4年、実重(さねしげ)隆宏さん(21)。
容保桜は京都守護職を務めた会津藩主、松平容保にちなんで命名されたもの。今年2月、今出川キャンパス内に芝生を養生する憩いのスペースが設けられ、2本が植えられた。
一方、同志社大を創設したのは新島襄。今年のNHK大河ドラマ「八重の桜」は新島の妻、八重の波乱に満ちた生涯を描いており、容保も登場している。
こうした見方もあってか、「ジャバスタ」ではインターネット上で反対を呼びかけたところ、これまでに約1300人分の署名を集めたという。
ただ、大学側は「計画は平成20年からあり、『八重の桜』が放映されたから整備したわけではない」と否定。バイク通学の禁止措置について、「学生が過ごしやすい空間の環境整備に力を入れている。事故の防止とキャンパスの環境整備に協力してもらいたい」と学生の理解を求めている。