口頭の誇大売り込みも「違法」10月18日 4時19分
「高血圧が必ず治る」などと、実際にはない効果を口頭で誇大に売り込んでいたとして、消費者庁は、口頭での商売文句が景品表示法違反に当たると初めて判断して、東京の医療機器販売会社に再発防止を命じました。
命令を受けたのは、東京・府中市にある「株式会社ヘルス」です。
消費者庁によりますと、この会社は、3年前からことし4月にかけて、敷布団に電気を流して頭痛や肩こりを和らげるとされる「パワーヘルス」という医療機器について、全国で無料体験会を開き、口頭で「高血圧や糖尿病が必ず治る」などと説明して販売していました。
これについて、消費者庁がこの会社に高血圧や糖尿病などが治る根拠を示すよう求めましたが、会社が示さなかったことから、消費者庁は実際にはない効果を口頭で誇大に売り込んでいたとして、景品表示法に基づき、こうした表現を行わないよう命令しました。
口頭での商売文句が景品表示法違反に当たると判断して命令を行うのは、4年前に消費者庁が発足して以来初めてです。
命令について株式会社ヘルスは「命令を受けたことを真摯(しんし)に受け止め、再発防止策を徹底していきたい」と話しています。
被害の実態は
埼玉県に住む男性の両親は、去年、この医療機器を購入しました。
高齢の両親はそれぞれ病気で苦しんでおり、白内障だった父親は手術をするか悩んでいましたが、販売員から効果があると言われ、50万円の機器の購入を決めたといいます。
しかし、毎日何時間か使っていたものの、何の効果も感じなかったということです。
また、重い内臓の病気を治したい一心だったという母親は、「何にでも効く」というセールストークを信じ込み、1日8時間、使っていたといいます。
その後、母親は亡くなりましたが、男性は、母親がセールストークを信じて機器に望みを託してしまい、効果のある治療に専念できなかったことを後悔しています。
男性は「母は亡くなる数日前も機器を使い続けて最後まで生きようとした。お年寄りは新しい情報を得るのが難しいので販売員の言うことを真に受けやすい」と話しています。
高齢者からの相談が増加傾向
国民生活センターによりますと、こうした「電位治療器」と呼ばれる医療機器のセールストークなどの相談は、この10年余りで2000件を超え、増加傾向にあるということです。
特徴的なのは、相談をしてきた人のうち、60代以上が70%余りと高齢者が目立つ点です。
国民生活センター相談情報部の伊藤汐里さんは「高血圧や糖尿病、関節の痛みなど、高齢者がもともと持っているような悩みにつけこんで、本来うたってはいけない効能効果に及んだセールストークが行われているので、そうした業者は信用しないでほしい。病気を抱えている人は、医療機関での治療を優先してもらいたい」と話しています。
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