できごと【関西の議論】性同一性障害者家庭訴訟、「男」になった「元女」が司法に問う「家族の形」とは+(1/3ページ)(2013.5.3 07:00

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できごと

【関西の議論】
性同一性障害者家庭訴訟、「男」になった「元女」が司法に問う「家族の形」とは

2013.5.3 07:00 (1/3ページ)関西の議論 2013
提訴後、長男を抱いて記者会見する性同一性障害の男性(左)=4月17日午後、大阪市北区

提訴後、長男を抱いて記者会見する性同一性障害の男性(左)=4月17日午後、大阪市北区

 性差別か、法の限界か。性同一性障害で性別を女性から変えた大阪府東大阪市の会社員の男性(30)が4月、「第三者の精子による人工授精」(AID)で妻(31)との間に生まれた次男(生後11カ月)との親子関係の確認を求める訴訟を大阪家裁に起こした。会社員側は「血縁関係にこだわらず、親子と認められるべきだ」と主張。会社員を父と認めなかった自治体側は「法律上の親子ではない」との姿勢を崩さない。今回のケースは、出生届を見ただけでは自治体は「血のつながり」が判別できない、ということが背景にある。会社員の場合は戸籍に性別を変更したという“生殖能力のない証拠”があったためだ。一緒に暮らしている実態をどう判断するか。裁判所の示す「家族の形」が注目される。

性別変更という「証拠」

 「一般的な夫婦の場合、第三者の精子で生まれた子供であっても親子関係が認められる。自分が認められないのは、性同一性障害者に対する差別としか思えない」

 4月17日、家裁への提訴後に大阪市内で記者会見した会社員は、戸籍を扱う行政の対応を批判した。

 訴状などによると、提訴するに至った経緯はこうだ。

 会社員は平成20年3月、性同一性障害特例法に基づき、性別を女性から男性に変更する審判を家裁で受け、4月に妻と結婚。AIDにより21年11月に長男、24年5月に次男が生まれた。

 問題は出生届を提出する際に起きた。

 6月、正式な夫婦間の子供(嫡出子)として、次男を本籍地の東京都新宿区に届け出たが、区は会社員に生殖能力がないことを理由に父と認めず、戸籍の父親欄を空白にした。

 一般的に、出生届では父子の血のつながりが判別できないため、男性側に不妊の原因がある夫婦がAIDで授かった子供の出生届を提出した際、AIDかどうかは分からないため、自治体は親子として扱っている。

 ところが今回のケースでは、戸籍に会社員が性別変更をした事実が記載されていた。「動かぬ証拠」というわけだ。

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提訴後に記者会見する性同一性障害の男性=4月17日午後、大阪市北区

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